帝人 2021年3月期第3四半期連結決算

遠隔モニタリング算定要件緩和で、診療支援ツール「ネムリンク」導入施設が増加

 帝人の2021年3月期第3四半期連結決算は、売上高6097億4100万円(前年同期比5.8%減)、営業利益452億4300万円(同6.2%減)、経常利益428億5700万円(同9.7%減)、親会社株主に帰属する純利益268億2200万円(同11.1%減)となった。通期連結業績予想を修正し、売上高8100億円(前回予想比100億円増、前年同期比5.1%減)、営業利益550億円(同50億円増、同2.1%減)、経常利益530億円(同50億円増、同2.5%減)、親会社株主に帰属する純利益をマイナス100億円(同350億円減、前期は252億5200万円の純利益)の損失に修正した。配当予想に変更はない。

 通期の業績予想では、自動車を中心とする市場の回復や販売費および研究開発費の減少が前回見通し時の想定を上回る見込みであることにより、売上高、営業利益および経常利益を上記の通り上方修正した。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている航空機市場が長期低迷化するとの見通しにより、炭素繊維事業で相当程度の業績影響が見込まれるとして、当該事業の固定資産に係る減損損失等の特別損失を業績予想に織り込み、親会社株主に帰属する当期純利益を下方修正した。

 第3四半期のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)による影響は、想定よりも回復傾向はやや強まるとしながらも、回復の傾きは鈍化した。自動車を中心に回復傾向が継続。航空機向け需要は低迷が継続した。第2四半期に大きく業績に貢献した医療用防護具(ガウン等)の第3四半期には業績貢献は限定的だった。

 セグメント別のヘルスケア事業の業績は、売上高1119億円(前年同期比6.2%減)、営業利益は258億円(同11.3%減)だった。このうち在宅医療については、睡眠時無呼吸症候群治療のCPAP市場において、COVID-19の影響により入院検査数が減少したが、市場拡大は継続した。また、遠隔モニタリング算定要件が緩和され、診療支援ツール「ネムリンク」導入施設が増加した。

 在宅酸素療法(HOT)市場においては、病院内の感染回避のため在宅医療導入が選択されるケースの増加が継続しており、レンタル台数が増加した。

 ヘルスケア事業の2020年度の通期業績見通しは、売上高で1500億円(前年同期比2.6%減)、営業利益で前回見通しから10億円増の310億円(同4.8%減)とした。