エア・ウォーターグループ、新型コロナウイルスワクチン6回接種が可能な注射針を開発
注射器に残る薬液の量を減らせる「ローデッドスペース注射針」
エア・ウォーターグループは、注射器に残る薬液の量を減らせる「ローデッドスペース注射針」を開発し、2021年4月1日より国内向けに販売を開始する。これにより、特殊なシリンジ(注射筒)を用いなくても、シリンジ側に薬液が残る“デッドスペース”を減らすことができ、米ファイザー社製の新型コロナワクチン1瓶から6回接種が可能※1となる。
本製品は、注射針とシリンジを接続する針基(樹脂製)部分でシリンジ側のデッドスペースを最小限にし、薬液の残量を約0.03ミリリットルと従来の一般的な注射針とシリンジの組み合わせ(残量約0.09ミリリットル)に比べて約3分の1に減らすことができる※2。2022年3月までに海外向けも含めて約3億本の生産を予定する。
エア・ウォーターグループでは2020年6月に注射針の生産設備を増強し、生産能力をこれまでの年間19億本から30億本に高めた。現在、他製品の生産ラインも活用しながら、ワクチン接種用注射針の生産体制を強化しており、今後もワクチン接種の円滑化につながるよう尽力するとしている。
※1:一部、シリンジ先端部の内径サイズによって、本製品と組み合わせることができないシリンジがある。
※2:特許出願中。
「ローデッドスペース注射針」の概要
針基部分でシリンジ側のデッドスペースを最小限にし、薬液の残量を約0.03ミリリットルと従来の一般的な注射針とシリンジの組み合わせに比べて約3分の1に減らす。
- 開発・製造: ミサワ医科工業株式会社(本社:茨城県笠間市、代表取締役社長:馬場 秀運、株主:エア・ウォーター株式会社 100%)
- 一般的名称: 単回使用注射用針
- 販売名: ディスポーザブルLDS注射針
- 医療機器認証番号: 303ABBZX00030000
- 針の外径: 0.50mm
- 針の内径: 0.25mm
- 針の長さ: 25mm
エア・ウォーターグループ 注射針事業の概要
エア・ウォーターグループは 2007 年に注射針の研磨専業会社の斎藤医科工業株式会社を子会社化し、注射針事業に参入。2016 年、注射針の原材料であるパイプ加工や製品化技術を持つミサワ医科工業を子会社化し、2018 年には同社と斎藤医科工業が合併することで、パイプから最終製品まで一貫生産体制を構築、注射針事業のさらなる強化を図った。また、2017 年には医療機器・器具卸で主に医療用注射針の輸出を手掛ける松岡メディテック株式会社を子会社化し、製造から販売までの総合的な事業展開を推進している。
エア・ウォーターグループは、長年培ってきた独自の研磨および表面コーティング技術による品質性能に加え、パイプ~滅菌工程までの一貫生産技術と、多品種小ロットにも対応できる生産体制が強み。また、注射針の提供分野は医療、歯科、美容、動物用と多岐にわたり、国内はもとより海外市場に向けた事業展開を強化し、世界 80 カ国を超える顧客に利用されるなど、世界で輝くスペシャリティ、総合注射針企業を目指して事業の拡大に取り組む。