日本海水、福岡県苅田町で木質バイオマス発電所を着工
エア・ウォーターグループの株式会社日本海水(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:西田 直裕)は、2021 年4 月16 日より、福岡県苅田町における木質バイオマス発電所の建設工事に着手した。
日本海水は、製塩業界におけるリーディングカンパニーとして、家庭用から業務用まで年間40 万トンを生産しており、製塩工程で大量の電力を使用するため、従来から発電設備を保有している。2015 年度には固定価格買い取り制度(FIT)の活用及び CO2削減や雇用創出など社会貢献を勘案して、同社赤穂工場内に木質バイオマス発電所と天然ガスボイラを建設し、本格的に電力事業に参入した。2021 年1 月には、赤穂第2バイオマス発電所の営業運転も開始している。
こうした製塩に関連した事業展開に加え、2019 年6 月には福岡県苅田町における木質バイオマス発電所の建設・運転等を目的とした発電事業会社「株式会社日本海水TTS 苅田パワー」を設立し、発電所設備の詳細設計を経て、今回、本発電所の建設工事に着手した。
本発電所の発電形式は、5 万kW 規模のバイオマス発電ボイラであり、PKS※1や国内材(建設廃材や樹皮など)を燃焼しやすいトラベリングストーカ方式を採用し、燃料の多様性に対応可能なものとしている。また、福岡県苅田町というロケーションは、今後、港湾設備の整備が予定されており、PKS など燃料の受け入れなど物流面でのメリットが得られる。国内材の安定調達が期待できる地域であり、さらに、燃料供給については供給元の民間企業と長期安定供給契約を締結した。
営業運転開始は2023 年10 月を予定しており、間伐材等の山林放置木の一層の活用による自然環境保護や再生可能エネルギーの利用によるCO2の削減効果(12.7 万トン/年)※2など環境改善に資するとともに、地域の林業・木材産業振興、苅田町における雇用創出など地域活性化に貢献する。
エア・ウォーターグループは、あらゆる環境下でも安定して事業を継続するために自前で電力を調達できるベース電源の確保はもとより、今後も再生可能エネルギーによる電力事業を推進することで、温室効果ガス排出ゼロを目指し、脱炭素社会の実現に貢献する。
※1:Palm Kernel Shell。パームヤシの殻の部分、パーム油を生産する過程で発生する農作物残渣
※2:九州電力(株)より公表されている「2019年度CO2排出係数の報告について」を用いて算出し、九州電力の発電量の一部を日本海水が新たに建設するバイオマス発電所の送電量に置き換えた場合として試算。
発電所の概要
- 設置場所: 福岡県京都郡苅田町鳥越町
- 発電形式: バイオマス発電ボイラ
- 発電出力: 5 万kW
- 燃焼方式: トラベリングストーカ方式
- メーカー: ㈱タクマ
- 使用燃料: PKS および国内材
- 燃料使用量: 28 万トン/年
- 建設開始時期:2021 年4 月16 日
- 運転開始時期: 2023 年10 月(予定)
発電事業会社 株式会社日本海水TTS 苅田パワーの概要
- 本社: 福岡県京都郡苅田町鳥越町
- 設立日: 2019 年6 月3 日
- 出資比率: ㈱日本海水(68%)、㈱ティーティーエス企画(30%)、㈱タクマ(2%)
株式会社日本海水 会社概要
- 本社: 東京都千代田区神田駿河台4 丁目2 番5 号
- 代表者: 代表取締役社長 西田 直裕
- 売上収益: 303 億円(2020 年3 月期、連結)
- 事業内容: 塩事業、環境事業、食品農業事業、電力事業
- 従業員数: 698 名(2020 年3 月末現在、連結)
(参考)エア・ウォーターグループの再生可能エネルギーによる電力事業(発電所)
発電所名 | 運転開始 | 発電能力 |
日本海水 赤穂第1バイオマス発電所(兵庫県赤穂市) | 2015 年4 月 | 約1.65 万kW |
エア・ウォーター&エネルギア・パワー山口 木質バイオマス・石炭混焼発電所(山口県防府市) | 2019 年7 月 | 約11.2 万kW |
日本海水 赤穂第2バイオマス発電所(兵庫県赤穂市) | 2021 年1 月 | 約3 万kW |
エア・ウォーター&エネルギア・パワー小名浜 木質バイオマス専焼発電所(福島県いわき市) | 2021 年4 月 | 約7.5 万kW |
日本海水TTS 苅田パワー 木質バイオマス発電所(福岡県京都郡苅田町) | 2023 年10 月(予定) | 約5 万kW |