エア・ウォーター 組織改革(2022年4月1日付)

 エア・ウォーターは3月17日開催の取締役会において、4月1日付で実施する組織改革を決定した。

エア・ウォーター 新組織図(2022年4月1日付)
エア・ウォーター 新組織図(2022年4月1日付)

組織改革の主旨

 エア・ウォーターグループは、2000 年のエア・ウォーター発足以降、200 社を超えるM&A を積み重ねながら事業領域を広げ、現在では、ものづくりの現場で活躍する産業ガスやケミカル、人々の生命を支える医療、暮らしにかかわるエネルギーや農業・食品、さらには物流、海水、エアゾールなど多様な事業を展開している。これにより環境変化に左右されにくい事業ポートフォリオを構築するとともに、持続的な成長を実現してきた。

 社会環境が大きく変化する中、今後、将来にわたり持続的な企業成長を果たしていくためには、事業活動を通じて提供する社会価値をより重視したサステナブル経営を推進していくことが不可欠であることから、エア・ウォーターグループは、気候変動や超高齢化社会の進展など今後の世界的な社会課題を踏まえ、「地球環境」と「ウェルネス(健やかな暮らし)」という 2 つの成長軸を定めた。

 今後、エア・ウォーターグループは、この 2 つの成長軸に沿って、これまでの事業展開により獲得した経営資源である「事業、技術、人材の多様性」と「地域密着の事業基盤」を強みとして、特に「収益構造の強化」と「新事業の創出」の両立という 2 つの観点からグループシナジーを最大化し、これまで以上にダイナミックな企業成長を実現する。

 今回の組織改革は、この成長戦略の実現に向けて自立的に挑戦する組織への変革を目的として全社的に実施するもの。

組織改革の狙い

新たな成長に向けた事業組織の構築

  • 2 つの成長軸である「地球環境」と「ウェルネス」に沿って、技術を基軸とした新事業の創出をはじめ、様々なグループシナジーを生み出しやすい事業体制を構築するため、エア・ウォーターグループの多様な事業領域を 4 つの「事業グループ」、12 の「事業ユニット」に再編する。
  • 4 つの事業グループは傘下の事業ユニット間におけるシナジー創出を推進する。
  • 12 の「事業ユニット」は傘下の事業会社群にかかわる事業成長戦略の策定と経営資源の最適配分を行い、エア・ウォーターと事業会社群が一体となった事業ユニット経営を推進する。

強いコーポレート組織の構築

  • グループ全体の経営戦略策定機能ならびに経営資源の最適配分機能を強化する。これにより、新規事業の育成、データ経営の推進、事業の DX 推進、物流改革、人材活用・育成といった観点から事業部門を主導し、事業の変革と成長を推進する。
  • エア・ウォーターおよびグループ会社個々の財務、会計、労務、総務、システム等のオペレーション業務を集約して担う 2 つの機能会社を設置し、内部統制システムがより一層機能する業務プロセスを構築することでグループガバナンスを強化するとともに、業務運営のプロフィット化と業務プロセスの統一化、DX の推進により業務効率の向上と専門人材の育成を図る。

技術統括部門によるグループ技術力の向上

  • グループの研究開発とエンジニアリングの技術資源に横串を入れ、一元化することで技術力の向上を図り、新事業の創出と海外展開の拡大に向けた専門人材の育成を推進する。

地域事業のさらなる成長と拡大

  • 顧客に密着した地域の事業基盤とグループの多様な経営資源を活かし、既存事業の深耕により国内事業の収益力の強化を図るとともに、地域社会に寄り添った新事業を創出する。

新組織の内容

事業部門

 現在の社内カンパニー(産業、ケミカル、医療、生活・エネルギー、農業・食品、海水の各カンパニー)と事業部(電力事業部、SIC 事業部)を 4 つの「事業 グループ」と12 の「事業ユニット」に再編する。

 ≪地球環境≫
  • デジタル&インダストリーグループ:半導体製造にかかわるガスとケミカルの事業領域を融合し、加速度的に成長するデジタル分野にエア・ウォーターグループが保有する様々な技術・商材・サービスを提供することで半導体関連事業を強化し、総合メーカーとしてのポジションを確立する。祖業である産業ガス事業は、技術・人材・資産の集約によりグループ総合力を強化するとともに、成長する北米・インド市場を戦略エリアとして海外事業の拡大を進める。
    • エレクトロニクスユニット
    • 機能材料ユニット
    • インダストリアルガスユニット
    • 海外・エンジニアリングユニット
  • エネルギーソリューショングループ:エネルギー分野と環境分野を融合し、資源リサイクルやクリーンエネルギーにかかわる新たなビジネスモデルを構築することで、社会課題である脱炭素社会、資源循環型社会の実現に貢献する。
    • エネルギーユニット
    • 資源循環ユニット
≪ウェルネス≫
  • ヘルス&セーフティーグループ:医療分野はヘルスケア領域への事業シフトを進め、防災ソリューション分野は人の命と財産を守る新たな価値を創出することで、様々な角度から人々の安心安全を支える事業体へと変革する。
    • サービスユニット
    • コンシューマーヘルスユニット
    • メディカルプロダクツユニット
    • 防災ユニット
  • アグリ&フーズグループ:農産分野は、スマート農業技術の向上や物流・加工機能を活かした新たなビジネスモデルの構築によって地域農業の振興や食品ロス低減に貢献する農産事業の確立を目指す。加工食品分野は、自社製品のブランディング強化や機能性食品などの商品開発とともに、グループの物流機能や拠点を活用した流通の合理化により、収益力の強化を図る。
    • フーズユニット
    • アグリユニット

コーポレート部門

 現在のコーポレート部門をグループ経営戦略のセンター機能として位置付け、グループ全体の経営戦略策定と経営資源の最適配分を担う各組織に再編する。

≪グループ経営戦略≫
  • 経営企画室
  • 広報・IR 推進室
  • SDGs 事業推進室
  • 管理改革推進委員会
≪経営資源戦略≫
  • HR 戦略室
  • 財務戦略室
  • 法務・ガバナンス室
  • 連結管理室
  • DX 推進室
  • 物流改革推進室
  • 調達室
  • CSR 推進室

 なお、コーポレート部門の機能会社として、当社およびグループ会社個々の財務、会計、労務、総務等のオペレーション業務を受託する「AW プロフェッショナルサービス㈱」ならびにシステム運用、DX 推進等の業務を受託する「AW デジタル㈱」を設置し、これらの業務については両社に委託する。

技術統括部門

 グループの研究開発とエンジニアリングの技術資源をそれぞれ統括する現在の「グループテクノロジーセンター」および「エンジニアリングセンター」は、現組織体制を維持する。

(両センターは本組織改革に先行して新設した組織。[グループテクノロジーセンター(旧組織名称:技術戦略センター)は 2020 年 2 月、エンジニアリングセンターは 2021 年 4 月に新設])

その他の部門

 地域事業会社 3 社を所管する現在の「リージョナルインキュベーションカンパニー」は、「リージョナルインキュベーショングループ」に改称する。なお、本組織改革に先行して、2020 年 10 月 1 日付にて国内の地域事業会社 8 社 を 3 社に統合再編。