昭和電工 200mm SiCエピウェハーのサンプル出荷を開始
自社製SiC単結晶基板を活用、SiCパワー半導体の普及・拡大に貢献
昭和電工は、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体に使用されるSiCエピタキ シャルウェハー(以下、SiCエピウェハー)*1について、国内メーカーとして初の200mm(8インチ)サイズのサンプル出荷を開始した。本製品には、自社製のSiC単結晶基板(以下、SiCウェハー)を用いている。
SiCパワー半導体は、従来のシリコンウェハーを用いたパワー半導体に比べ、電力損失や熱の発生が少なく、省エネルギーに貢献するデバイスとして、電気自動車や再生可能エネルギー向けに市場が急拡大している。SiCパワー半導体の性能に大きく関係するSiCエピウェハーには、低欠陥で安定した品質が必要で、現在、SiCパワー半導体は主に150mm(6インチ)のSiCエピウェハーを用いて生産されている。SiCエピウェハーは大口径化することで一枚のウェハーからとれるチップ数が多くなるため、デバイスメーカーでの生産性改善や、それを通じたコスト低減が期待されている。
こうした市場ニーズを背景に、昭和電工は2021年より200mm化の開発を本格化させ、今回、自社製の200mm SiCウェハーを用いたSiCエピウェハーのサンプル出荷を開始した。同社はすでにSiCエピウェハーで外販メーカートップの世界シェア*2を有している。今回、パートナー各社からのSiCウェハーの調達に加え、自社製のウェハーを用いた製品開発にも取り組むことで、200mm SiCエピウェハーの生産拡大や安定供給体制の構築、品質のさらなる改善を目指す。
また、昭和電工は2030年までにSiCエピウェハーとその原材料であるSiCウェハーを200mmかつ欠陥密度を1桁以上低減することを目標に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のグリーンイノベーション基金事業 次世代デジタルインフラの構築プロジェクト*3の研究開発項目の一つである「次世代パワー半導体に用いるウェハ技術開発」において、「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」として研究開発を実施*4している。本プレスリリースに至る大口径化に関する知見及び成果を、「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」の目標実現につなげる。
昭和電工グループは「共創型化学会社」として、グローバル社会の持続可能な発展への貢献を目指し、エネルギー効率化を実現するSiCエピウェハーを次世代事業と位置付けて注力している。今後も、“ベスト・イン・クラス”をモットーに、高性能で高い信頼性の製品を供給することで、SiCパワー半導体の普及に貢献するとしている。
- *1)SiCウェハーの表面上にエピタキシャル薄膜を成長させた半導体材料
- *2)昭和電工推定
- *3)次世代デジタルインフラの構築プロジェクト
- *4)2022年5月23日発表「次世代グリーンパワー半導体用8インチSiCウェハー開発計画がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択」