エア・ウォーターグループ LPガス業界初、キャップシールを「卵殻プラスチック」製へ切り替え

甲子化学工業(株)と共同開発、CO2排出量を36%削減

 エア・ウォーターグループはLPガスボンベに使用するキャップシールについて、従来のプラスチック製から新たに開発した「卵殻プラスチック」製への切り替えを2023年2月より、順次進める。

 キャップシールはガス充てん済みの目印として、また、ほこりや異物侵入防止を目的にガス充てん口(バルブ)をカバーするもので、LPガス業界では多くの事業者で使われている。今回、卵殻に家電リサイクルプラスチックを配合した「卵殻キャップシール」に切り替えることで、石油由来のプラスチック製に比べCO2排出量は36%削減、プラスチック使用量も50%削減できる。なお、卵殻キャップシールは甲子化学工業㈱(本社:大阪府大阪市)と共同開発した。

 今後はLPガス業界への普及を目指し、他のLPガス事業者への販売についても検討を進め、地球環境保護へつなげる。

「卵殻プラスチック」製LPガスボンベのキャップシール
ガス充てん口(バルブ)をカバー
キャップシールはガス充てん済みの目印や、ほこり・異物侵入防止のためガス充てん口(バルブ)をカバー

卵殻キャップシールについて

 卵殻プラスチックは、廃棄物である卵殻をプラスチックに混ぜた「エコプラスチック」。石油資源由来プラスチック(ポリプロピレン)の使用量削減とともに、廃棄物の再利用により環境保護につながるため、注目を集めている。国内では1年間に26万㌧の卵殻が廃棄され、その大半が産業廃棄物として処分されている。

 エア・ウォーターグループが開発した卵殻キャップシールは、経済性と環境性を両立させた。経済性では、卵殻を配合することによりキャップシールの耐久性が向上したため、従来2~3回使用し廃棄していたところを卵殻キャップシールは15回以上繰り返し使用することができる。

 グループでは100拠点以上の営業ネットワークを有する北海道を中心に、家庭用・業務用など約50万軒の供給先に「ハローガス」のブランドでLPガスを販売しており、キャップシールを年間約150万個使用している。卵殻キャップシールに切り替えることで、使用数は従来の5分の1となる30万個程度と大幅な削減が可能となる。

 環境性では卵殻50%、家電リサイクルプラスチック50%の素材構成で石油由来のプラスチックを新規に使用しないことから、製造から焼却までのライフサイクルにおいてCO2排出量は36%削減される。

 卵殻の主な成分は炭酸カルシウムのため、今後、ホタテや牡蠣の殻といった卵殻以外の原料使用も検討する。また、家電リサイクルプラスチックの供給は、エア・ウォーターグループで廃木材、廃プラスチックを原料とした人工再生木材「エコロッカ」を製造する、エア・ウォーターエコロッカ㈱より供給を受ける。

CO2排出量/プラスチック使用量 削減効果の算出について

(1)CO2排出量 削減効果

(単位:kg-CO2/kg)

 kg当たりCO2排出量キャップ重量(g)使用回数使用千回当たりCO2排出量CO2排出量削減効果
既存キャップシール6.90.430.92
卵殻キャップシール4.42.0150.590.3336%削減
※輸送工程は省略

(2)プラスチック使用量 削減効果

(単位:g)

 キャップ重量使用回数プラスチック含有量使用1回当たりプラスチック使用量プラスチック使用量削減効果
既存キャップシール0.43100%0.13
卵殻キャップシール2.01550%0.070.0750%削減