高圧ガス工業 2023年3月期第3四半期連結決算

溶解アセチレンは、建設・土木関連、造船業界向けの出荷数量が減少。原材料価格高騰による価格改定で、売上高は前年同期比プラス

 高圧ガス工業の2023年3月期第3四半期連結決算は、売上高677億5200万円(前年同期比11.4%増)、営業利益39億1500万円(同5.4%増)、経常利益45億0300万円(同6.2%増)、親会社株主に帰属する純利益30億6300万円(同0.5%減)となった。通期の連結業績予想と配当予想に変更は無い。

セグメント別経営成績

ガス事業

 ガス事業を取り巻く環境は、半導体、自動車、建設など仕向け先への需要が回復せず、更に原材料価格の高騰が続く厳しい状況で推移した。このような事業環境のなか、当事業ではシリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、生産・販売体制の見直しを行ない、地域に密着した営業に努めた。また、カーボンニュートラル社会実現に向け、環境負荷の低い液化アンモニアや水素ガス等の供給網整備や溶解アセチレンを用いた新素材の研究開発を進めている。

 『溶解アセチレン』は、建設・土木関連の現場及び造船業界向けの出荷数量が減少したものの、原材料価格の高騰による価格改定により、売上高は前年同期を上回った。『その他工業ガス等』は、全般的に出荷数量は減少したが、原材料価格の高騰による価格改定やアルゴンが現場工事及びスポット需要の獲得、エアゾールガスが新規獲得、また、LPガス等の石油系ガスでは輸入価格の高騰に伴なう販売価格の上昇によりそれぞれ増加し、売上高は前年同期を上回った。『溶接溶断関連機器』は、設備工事や工作機械等の受注が回復し、売上高は前年同期を上回った。『容器』は、消火設備装置向け容器の需要回復と原材料価格の高騰による価格改定により、売上高は前年同期を上回った。

 設備賃貸の収入を加えた当事業の売上高は497億21百万円(前年同期比11.4%増加)、営業利益は42億50百万円(前年同期比29.6%増加)。

化成品事業

 原材料価格の高騰や、供給制限、供給不足が続く厳しい状況で推移した。このような事業環境のなか、当事業では仕向け先への製品の安定供給に努め、また、新しい技術の開発に注力し、環境にやさしい製品や付加価値の高い製品づくりに努めた。

 『接着剤』は、ペガールが木工用が減少したものの、塗料用及び紙用が新製品の開発により増加、シアノンが南米向けが減少したものの、北米向け高機能品が増加、また、韓国・東南アジア向けコンシューマー用の需要が増加、ペガロックが海外向けが中国主要都市のロックダウンの影響により需要が減少、また、国内向けが住宅設備関係の需要が減少した。売上高は接着剤全般の原材料価格の高騰に伴なう価格改定もあり前年同期を上回った。

 『塗料』は、建築用塗料が高機能品の「ウォ-ルバリアシリーズ」や「ビーズコートシリーズ」の伸長や塗料製品の原材料価格の高騰に伴なう価格改定もあり増加し、また、エアゾール製品は需要が回復し、売上高は前年同期を上回った。

 設備賃貸の収入を加えた当事業の売上高は156億59百万円(前年同期比12.1%増加)、営業利益は度重なる原材料価格の上昇の影響を大きく受け6億92百万円(前年同期比47.6%減少)。

その他事業

 LSIカード関連の需要が減少したものの食品添加物の需要が増加し、価格改定もあり前年同期を上回り、売上高は23億71百万円(前年同期比6.3%増加)、営業損失は56百万円(前年同期は21百万円の
営業利益)。