エア・ウォーターが世界初となる、駐車場と併用可能な垂直ソーラー発電システム「VERPA(ヴァルパ)」を開発

垂直型で場所を取らず、豪雪地帯にも導入可能

 エア・ウォーターは高性能な両面受光型太陽電池モジュールメーカー、Luxor Solar GmbH(ドイツ)の日本法人であるルクサーソーラー株式会社(代表取締役社長:ウーヴェ・リーブシャー、本社:東京都中央区)と共同で、駐車場併用タイプの垂直ソーラー発電システム「VERPA(ヴァルパ)」を開発した。

垂直ソーラー発電システム「VERPA」
北海道札幌市豊平区の自社用地に垂直ソーラー発電システム「VERPA」の実証機を設置
垂直ソーラー発電システム「VERPA」

 地表面からモジュール最下部までの高さを2m以上確保することでドライバーの視線を遮らず、利用者の安全性に配慮しつつ、設置面積がわずかで済むため、既存の平面駐車場などへの導入を容易にした。こうした人々が行き来する生活圏の中に設置され、他用途との併用が可能な垂直ソーラー発電システムの商品化は世界初で、日本市場を対象として2023年5月より販売を開始する。

 平地面積あたりの太陽光発電設備容量が主要国の中で最大である日本では、既に適地が不足している。その一方、国土の51%を占める豪雪地帯は太陽光発電の不適地とされてきたが、「VERPA」はその問題の解決策となり、牧草地や農道脇に設置することで、酪農家や農家の収益向上にも寄与する。

 エア・ウォーターはバイオガスの高度利用技術、木質バイオマス資源の総合的なエネルギー利用技術、各種排ガスのCO2回収技術などを通じて、脱炭素社会の実現と地域経済活性化への貢献を目指している。VERPA(ソーラーエネルギー)事業は、これらに続く地球環境ビジネスの第4の注力分野として成長を加速させ、2030年度にはグループとして年間売上1000億円規模の事業を目指す。

※2019年の日本の平地面積あたり設備容量は470kW/km2。主要国の中で2位のドイツ(219kW/km2)と比べて2倍超。(資源エネルギー庁、2022年4月26日「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会について」より)

垂直ソーラー発電システム「VERPA」の特長

 再生可能エネルギーの大規模導入を国策として進める日本では、ソーラー発電所の新たな導入適地が乏しくなっている。その一方、脱炭素社会の実現への機運の高まりや電気料金の高騰によって、ソーラー発電システム導入のニーズは増しており、他の用途と土地を併用でき、雪や雹などに強く、景観や農地を毀損させない環境調和型の新しいソーラー発電システムが求められている。

 「VERPA」は欧州で普及を始めた垂直ソーラー発電システムを、日本市場のニーズに適用させることを目指し、高性能な両面受光型太陽光発電モジュールメーカーであるルクサーソーラーとエア・ウォーターが共同で開発した。豪雪地帯や、既に駐車場など他用途で使用している土地へのソーラー発電システム導入を可能とし、傾斜地に設置した場合でも農地や牧草地との併用により、土壌劣化や景観悪化を防ぐことができる。初期の導入場所としては、ショッピングセンターや大型公園の駐車場、サービスエリア・パーキングエリア、道の駅をはじめ、牧草地や農道、歩道などを想定する。

(1)駐車場の収容能力を減らすことなく利用者の安全にも配慮、市街化調整区域にも設置可能

 従来の平置き型・傾斜型では難しい土地の併用が可能で、既存の駐車場に収納台数を減らさず設置できる。地表からソーラー発電モジュール下部までの高さを2m以上とすることで、ドライバーや歩行者の視線を遮らず、通電部との距離を確保し駐車場利用者の安全に配慮。建築物ではなく工作物となるので、市街化調整区域の駐車場にも設置可能。

駐車場の収容能力を減らすことなく利用者の安全にも配慮、市街化調整区域にも設置可能

(2)雪に強く、豪雪地帯でも導入が可能、落下物による破損リスクが無い

 平置き型や傾斜型、カーポート型では、積雪により発電しない、もしくは圧壊するといった危険があり、豪雪地帯でのソーラー発電導入には大きなリスクがあった。垂直型だと雪が積もらず、雹・黄砂・落葉・落石などにも強さを発揮する。また、台風や暴風雪などにも耐えるように、防風柵・防雪柵メーカーでもあるエア・ウォーターグループの(株)ホクエイが強度設計に参加し、適切な耐力計算を行う。

傾斜型(左)は発電しない、もしくは破損のリスクがあり、垂直型は雪が積もりにくい
傾斜型(左)は発電しない、もしくは破損のリスクがあり、垂直型は雪が積もりにくい

(3)平置き型・傾斜型と比べて年間発電量に大差なく、出力ピークの調整ができ、反射光の利用も可能

 ルクサーソーラー製の高性能な両面発電モジュールは、裏面受光の場合でも表面に対して92±3%の発電効率を誇り、東西方向に受光面を向けた垂直型設置では朝夕2回の出力ピークが現れる。平置き型・傾斜型と比較しても年間発電量にほとんど差は無く、地面からの反射光によっては垂直システムの方が優れた結果を示す。

時間ごとの発電量推移イメージ(右)。垂直型は両面発電により、朝夕2回のピークが現れる
時間ごとの発電量推移イメージ(右)。垂直型は両面発電により、朝夕2回のピークが現れる

(4)競争力のある設置費・維持費、清掃やメンテナンスが容易

 カーポート型と比べて設置費や維持費は安価であり、受光面が目視できるので清掃作業やメンテナンスが容易。

垂直ソーラー発電システム「VERPA」概要

  1. 製品名:駐車場併設・垂直ソーラー発電システム VERPA(ヴァルパ)Vertical Solar System for Parking Area
  2. 製品性状:
    • 1ユニット出力:460W×2段=920W(横幅2280mm×高さ4633mm)
    • 試算モデル(例):10台×4列の駐車場(横幅30m×長さ39m程度)で約36kW ※0.92kW×39ユニット(13ユニット×3列)=35.88kW
  3. 販売開始:2023年5月より順次
  4. 参考価格:本体含む総工事費 30万円~70万円/kWを想定(補助金助成を含まず)※総工事費単価は地盤強度や基礎工法、電気接続工事費などにより大きく変化する。
  5. 対象地域:日本国内、全国地域を対象。

※ルクサーソーラーはNext2sun社(ドイツ)が取得済みの垂直ソーラー発電システムに関する特許の対日独占実施権を保有しておりエア・ウォーターとルクサーソーラーは本製品の販売に関する独占的な業務提携契約を締結済み。