東邦アセチレン 2023年3月期通期連結決算
溶解アセチレンと酸素及び窒素は需要が減少、アルゴンが発電所工事・自動車関連向け、水素は石英加工向け、食品用ガスは外食産業向けに需要が増加
東邦アセチレンの2023年3月期通期連結決算は、売上高340億8700万円(前年同期比9.0%増)、営業利益15億2200万円(同23.9%増)、経常利益16億8400万円(同24.3%増)、親会社株主に帰属する純利益9億8800万円(同20.0%増)となった。年間配当金は中間配当20円、期末配当40円の60円。
セグメント別業績
ガス関連事業
売上高は、220億83百万円と前年同期に比べ18億86百万円(9.3%)の増加、営業利益は20億03百万円と前年同期に比べ2億90百万円(17.0%)の増加となった。
溶解アセチレン、酸素及び窒素は需要が減少したものの調達コスト増加に伴う販売価格の改定に加え、アルゴンは発電所工事・自動車関連向けに、水素は石英加工向けに、食品用ガスは行動制限の緩和を受け外食産業向けに需要が増加、液化石油ガスは輸入価格の上昇の影響を受け、売上高は増加した。
利益面は、前年に実施した多賀城工場の大規模定期修理がなかったものの、それを超える電気料金の大幅な上昇に伴う製造コストが増加、水素も調達コストの増加で収益を圧迫したが、各種高圧ガスの価格改定を行ったこと及び食品用ガスの出荷量が大幅に増加したこと等により、営業利益は増加した。
器具器材関連事業
売上高は、96億86百万円と前年同期に比べ7億12百万円(7.9%)の増加、営業利益は3億53百万円と前年同期に比べ85百万円(31.8%)の増加となった。
溶接材料は販売価格を改定したことに加え、溶接切断器具はコロナ禍で停滞していた需要が回復し大型工作機械の需要が増加し、売上高は増加した。営業利益は、売上総利益の増加に伴い増加。
自動車機器関連事業
売上高は、11億70百万円と前年同期に比べ5億86百万円(100.4%)の増加、営業利益は前年同期に比べ73百万円増加し、46百万円の営業利益(前年同期は27百万円の営業損失)となった。
自動車部品メーカーの設備投資需要の回復を受け、営業利益を確保した。
製氷機関連事業
売上高は、8億64百万円と前年同期に比べ3億11百万円(26.5%)の減少、営業利益は42百万円と前年同期に比べ27百万円(170.9%)の増加となった。
製氷・冷凍機械の大型物件の減少により売上高及び売上総利益は減少したが、販売費及び一般管理費は前期に発生した保証工事等が大幅に減少したこともあり、営業利益は増加した。
その他
売上高は、2億81百万円と前年同期に比べ71百万円(20.3%)の減少、営業利益は47百万円と前年同期に比べ6百万円(12.7%)の減少となった。
医療機器の需要が増加したものの、医療用ガス配管工事の大型物件にかかる仕掛の減少により、売上高及び営業利益は減少となった。
今後の見通し
東邦アセチレングループの産業ガス、液化石油ガス、産業器材各分野の主たる市場である東北、北海道地域経済の見通しは、地域総人口の継続的な減少が個人消費の減速をもたらすこと、公共事業も減少傾向にあることなどから景気は下押しされている。また、電気料金等の値上げによる原材料価格の上昇はあるが、東北各県、北海道、関東に事業会社が存在するというグループの総合力を活かして安定収益を継続していくとしている。
2024年3月期の通期連結業績予想は、売上高360億円(前年同期比5.6%増)、営業利益17億円(同11.7%増)、経常利益19億円(同12.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11億円(同11.3%増)を予想する。年間配当金予想は、中間配当20円、期末配当40円の60円を維持した。