デンカが米国ベンチャーと低炭素アセチレンチェーン確立に向け共同研究
大牟田工場に実証設備導入、メタンからアセチレンと水素を製造
デンカ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:今井 俊夫)は、アセチレン製造における低炭素化を実現するための技術確立を目的として、米国のベンチャー企業である Transform Materials(本社:米国フロリダ州、CEO:Rachelle Goebel)との共同研究および同社が展開する設備の導入を決定し、2023年5月23日に調印式を実施した。
今後、デンカ大牟田工場にTransform Materials 社設備(設備能力 1,600t-アセチレン/年)を実証機として導入する。共同研究期間は2023 年 5 月~2028 年末まで、設備稼働は2026 年度上期を予定する。
デンカは 2023 年度よりスタートした 8 ヵ年の経営計画「Mission2030」において、スペシャリティ、メガトレンド、サステナビリティの 3 要素をそなえた「3 つ星事業」を 100%にすることを目指している。また、非財務 KPI の一つとして、2030 年の CO2排出量 60%削減(2013 年度比)を掲げ、低炭素アセチレンチェーン※1の確立を含むポートフォリオ変革を進める。
今回、契約を締結した Transform Materials 社は、マイクロ波プラズマを利用したメタン(炭化水素)からのアセチレン・水素製造技術※2を保有する米国のベンチャー企業。同社が保有する技術は、カーバイドを原料とする既存のアセチレンチェーンから製造されるクロロプレンゴムやアセチレンブラックといったデンカ主力製品の CO2 排出量低減に寄与するだけでなく、副生する水素を活用することで、カーボンニュートラルに貢献する新たな取り組みを創出し得る可能性を持つ。
デンカは、この技術にもとづくアセチレン・水素の製造設備を同社の大牟田工場(福岡県大牟田市)に導入し、本技術の実証とアセチレンの大型量産の実現に向けた技術改良に取り組む。
デンカは2030 年までの 8 年間合計で 850 億円の環境投資を計画しており、国内外問わず、サステナビリティに関するさまざまな取り組みを、2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて推進する。
※1 アセチレンチェーン:アセチレンを原料とした各種製品の生産フロー 。※2 マイクロ波プラズマを利用したメタン(炭化水素)からのアセチレン・水素製造技術:天然ガスの主成分であるメタンをマイクロ波によりプラズマ化することで、アセチレンおよび水素を製造する技術。
Transform Materials 社概要
- 会社名 :Transform Materials
- 本社所在地 :アメリカ合衆国フロリダ州
- 設立 :2014 年
- 会長 :David Soane
- CEO :Rachelle Goebel
- HP :www.transformmaterials.com
デンカ大牟田工場概要
- 所在地 :福岡県大牟田市新開町1番地
- 製造品目 :アセチレンブラック、各種機能性セラミックス、放熱基板など
- 従業員数 :609 名