岩谷産業とトヨーカネツの「液化水素貯槽の大型化に関する研究開発」にNEDO助成金交付
5万m3級大型液化貯槽の実用化に向け、1/10ベンチスケールタンク構築による実証実験
トーヨーカネツと岩谷産業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模水素サプライチェーンの構築に係る技術開発」 の公募に、「液化水素貯槽の大型化に関する研究開発」をテーマに共同で応募し、助成金の交付決定を受けた。
2023年6月に改定された経済産業省策定の「水素基本戦略」によると、発電事業用水素発電の本格導入開始は2030年頃とされており、その実現に向けた大規模サプライチェーン構築において大型液化水素貯槽は重要なインフラとなる。
2019年3月の水素・燃料電池戦略ロードマップに示されている目標5万m3級の大型貯槽の実現を目指し、平底円筒形の液化水素貯槽の実用化に向けた研究開発を実施する。
液化水素は、蒸発しやすい性質を有し、且つ、LNGの-162℃よりさらに低い-253℃で保管しなければならないため、高断熱・高強度の保冷構造を開発する必要がある。トーヨーカネツは、真空断熱方式でこれを実現するため、各種の要素技術の研究開発にこれまで取り組んできた。
今回の研究開発事業においては、5万m3級大型液化貯槽の実用化に向け、過去に実施してきた要素技術のシステム化による性能確認を行うため、実機の約1/10のベンチスケールタンクの構築によるシステム実証実験を行い、将来の実用機に向けて技術課題の抽出を行う。
具体的には、ベンチスケールタンクの設計・建設を通じて、実用機に向けた施工方法、検査方法、真空排気方法、溶接施工法を検証する。また、このタンクに液化水素を貯めて、冷却方法、断熱性能の検証を行う。
岩谷産業は、これまで培ってきた水素の貯蔵、輸送、ハンドリング技術、液化水素に関する技術や知見を活かし、ベンチスケールタンクの設計サポートおよび同タンクへ液化水素を供給するための設備の検討、並びにそれらの運転方法の検討を行う。
予定事業期間は2023 年度~2027 年度(助成金の交付決定は2023~2024年度の2年間分。以降分は後年に確定)