日本酸素HD 2024年3月期第1四半期連結決算(IFRS)

オンサイトのセパレートガス出荷数量は前期比で減少、エネルギーコスト下落基調で電力コスト負担が緩和

 日本酸素ホールディングスの2024年3月期第1四半期連結決算は、売上収益3089億0300万円(前年同期比11.9%増)、コア営業利益407億4800万円(同34.6%増)、営業利益407億1500万円(同48.2%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益245億5800万円(同42.1%増)だった。通期の連結業績予想と配当予想は直近の予想から変更はない。

 当該期間におけるグループの事業環境は、ウクライナの地政学的問題、米中貿易摩擦、世界的な物価上昇、円安の進行などにより、引き続き、先行きを見通すことが困難な状況となった。主に鉄鋼、化学、石油精製向けにオンサイトで供給するセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期比で減少した。一方、欧米を中心にエネルギーコストは一時期の高値圏に比べ下落基調に入り、セパレートガスの製造原価に多く占める電力コストの負担は前期に比べ緩和された。また、コスト増加分の販売価格への転嫁等の価格マネジメント、さまざまな生産性向上への取組みに、グループ全体で注力した。

 為替の影響は、期中平均レートが前年同期に比べ、米ドルで131円25銭から139円63銭へと8円38銭(同6.4%増加)の円安、ユーロで138円75銭から151円89銭へと13円14銭(同 9.5%増加)の円安、豪ドルで92円52銭から91円94銭へと58銭(同 0.6%減少)の円高となり、売上収益は全体で約116億円、コア営業利益は全体で約16億円多く表示されている。

セグメント業績(セグメント利益はコア営業利益で表示)

日本

 産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガス、炭酸ガス及びLPガスの出荷数量は減少したが、コスト上昇を背景とした販売価格の改定効果により、増収となった。また、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの販売は堅調で、増収。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、中大型案件の進行基準による計上等により、増収となった。

 売上収益は、1076億2900万円(前年同期比 13.1%増加)、セグメント利益は、112億4500万円(同 87.1%増加)。

米国

 主力製品であるセパレートガスの出荷数量は減少したが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、増収。機器・工事では、産業ガス関連はガス関連機器を中心に好調で、エレクトロニクス関連も順調に推移し、増収となった。

 売上収益は、820億5100万円(前年同期比 19.1%増加)、セグメント利益は、111億9100万円(同 20.0%増加)。為替が円安となったことで売上収益は約43億円、セグメント利益は約6億円のプラス影響があった。

欧州

 主力製品であるセパレートガス及び炭酸ガスの出荷数量は減少したが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、増収となtった。機器・工事では、医療関連機器の販売が好調で増収。また、生産性向上とコスト低減の取組みによる寄与があった。

 売上収益は、731億4600万円(前年同期比 12.6%増加)、セグメント利益は、131億5000万円(同 49.1%増加)。為替が円安となったことで売上収益は約61億円、セグメント利益は約8億円のプラス影響があった。

アジア・オセアニア

 主力製品であるセパレートガスの出荷数量は減少したが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、売上収益は増収。なお、主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、販売単価及び販売数量は前期並みだった。エレクトロニクス関連では、東アジアで、客先の稼働状況による在庫調整や設備投資の先送りに伴い、ガス・機器ともに軟調で、大きく減収となった。

 売上収益は、384億6900万円(前年同期比 2.1%減少)、セグメント利益は、41億2800万円(同 10.6%減少)。為替が円安となったことで売上収益は約9億円のプラス影響があった。

サーモス

 日本では、ケータイマグ及びフライパンなどの調理用品の販売は堅調で、売上収益は微増。また、海外での販売は軟調だった。セグメント利益は、物価上昇による原材料価格の上昇と円安による製造コストの増加で、大きく減益となった。

 売上収益は、75億8400万円(前年同期比 1.2%減少)、セグメント利益は、14億2700万円(同 27.2%減少)。