川崎汽船・商船三井・日本郵船の邦船3社が、日本水素エネルギー子会社のJSE Ocean(株)へ第三者割当増資
2024年までに世界初の大型液化水素運搬船による海上輸送事業スキームの検討
日本水素エネルギー株式会社※1(以下「日本水素エネルギー」)と、川崎汽船・商船三井・日本郵船(以下「邦船 3 社」)は、2023年9月 12 日、邦船 3 社が日本水素エネルギーの子会社である JSE Ocean 株式会社(以下「JSE Ocean」)へ第三者割当増資※2により資本参加し協業することに合意した。
※1 日本水素エネルギーは、液化水素の国際サプライチェーンに関する、調査・企画・運営および投資等を主目的として 2021 年 6 に設立。現在の株主構成は川崎重工業株式会社66.6% 岩谷産業株式会社 33.4%。
※2 第三者割当増資とは、特定の第三者に対して新たに株式を発行することで増資を行う手法。
日本水素エネルギーは、岩谷産業、ENEOSとの 3 社で、2021 年 8月、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業/大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト」に対して、「液化水素サプライチェーンの商用化実証」を提案し、採択された。この実証事業では、年間数万トン規模の大規模な水素の液化・輸送技術を世界に先駆けて確立し、水素製造・液化・出荷・海上輸送・受入までの一貫した国際間の液化水素サプライチェーンを構築するための実証に取り組んでいる。
JSE Ocean は、日本水素エネルギーの子会社として、液化水素運搬船による液化水素の海上輸送事業検討を目的として 2023 年 1 月に設立された。今回の第三者割当増資の実施により、日本水素エネルギーと、エネルギーの海上輸送事業において豊富な知見・経験を有する邦船3 社は、JSE Ocean を通じて商用規模の国際水素サプライチェーンにおける液化水素の海上輸送確立を目指す。
具体的には、2024 年までに世界初の大型液化水素運搬船における安全で効率的な運航、将来性のある海上輸送事業スキームの検討を共同で実施する。また液化水素運搬船は水素を推進燃料とする予定で、運航時に排出される CO2を大幅に削減する。
脱炭素社会の実現に向け、クリーンなエネルギーである水素への期待が世界で高まっている。2023 年6月に日本政府が改定した水素基本戦略では、日本の水素導入目標量は、2030 年に最大 300 万トン/年、2040 年に 1200 万トン/年程度、2050 年に 2000 万トン/年程度となる。水素供給コストは 2030 年に約 30 円/Nm3、2050 年に 20円/Nm3(船上引き渡しコスト)の目標が掲げられているが、目標通りに水素を大量かつ安価に供給するためには、海上輸送を主とする国際水素サプライチェーンの構築が非常に重要となる。