三菱重工Gが回収後CO2の液化共同実証試験を開始

CO2ハンドリングに関するノウハウを取得し、CCUSの普及拡大を推進

 三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)と三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社(MHIET、社長:古殿 通義、本社:相模原市中央区)、三菱重工冷熱株式会社(社長:岡野 伸泰、本社:東京都港区、以下、三菱重工冷熱)は、ガスエンジン設備から回収したCO2を液化する共同実証試験をこのほど開始した。従来の排ガスからのCO2回収に加え、液化装置・技術の提供を通じてカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速する。

MHIET相模原工場の自家発電施設にあるガスエンジン設備
MHIET相模原工場の自家発電施設にあるガスエンジン設備
小型CO2液化装置「CO2MPACT™」
小型CO2液化装置「CO2MPACT™」

 この実証試験は、MHIET相模原工場の自家発電施設にあるガスエンジン設備から小型CO2回収装置「CO2MPACT™」を用いて回収したCO2を三菱重工冷熱の小型CO2液化装置で液化し、三菱重工グループの研究開発を担う総合研究所の知見を生かすことで早期実用化に向けた検証を行うもの。液化したCO2は気体より体積を小さくでき、輸送が容易になるため、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の普及拡大を推進できる。

 また、2022年から三菱重工がCO2回収の実証運転を通じて取り組んでいる、独自の遠隔監視システムを活用した運転支援サービスの検証について、今回の液化実証試験でも同様に実施する。これにより、液化したCO2のハンドリングに関するノウハウを取得することに加え、CO2回収から液化までの一貫した顧客サポート体制の強化を図る。

 三菱重工グループは2040年のカーボンニュートラル達成に向け、エネルギー供給側の脱炭素化に戦略的に取り組んでおり、多種多様なCO2排出源と貯留・利活用をつなげるCO2エコシステム構築はその柱の1つ。今回の取り組みにより、CO2回収から液化に至るまでの行程を三菱重工グループの総合力で一貫して手掛けることが可能になる。今後もカーボンニュートラル社会の実現に向け、ガスエンジン設備を含む産業分野など幅広い分野において、顧客や社会の脱炭素ニーズに応えるべく、環境保護に寄与するソリューションの開発をさらに進めるとしている。

三菱重工グループのCO2回収技術について

 三菱重工グループは、1990年から関西電力株式会社と共同でCO2回収技術KM CDR Process™やAdvanced KM CDR Process™の開発に取り組んでいる。2023年10月現在、KM CDR Process™を用いたプラントを15基納入しており、さらに3基を現在建設中。またAdvanced KM CDR Process™には、これまで納入した商用のCO2回収プラント15基全てで採用されているアミン吸収液KS-1™に技術改良を加えたKS-21™が採用されている。KS-21™は、KS-1™と比べて再生効率に優れ劣化も少ないといった特長を持ち、優れた省エネルギー性能と運用コストの低減および低いアミンエミッションが確認されている。

【三菱重工グループ「CO2回収技術」製品情報】