AGCの水素燃料によるガラス製造実証試験で日本エア・リキードの独自バーナーを導入
実生産炉での水素利用はAGCグループ初
日本エア・リキード合同会社(本社:東京都港区、イリョン・パク会長兼CEO )は、AGC株式会社(本社:東京都千代田区、平井良典社長 )が実施した水素を燃料としたガラス製造の実証試験を支援した。
本試験はAGCが関西工場高砂事業所(兵庫県高砂市)の電子用フロートガラス製造設備で、水素注入に特化したエア・リキード独自のバーナーを用いて実施した。従来の燃料に替えて水素を利用する酸素燃焼によりCO2排出削減が可能になる。実生産炉で水素を利用した試験は、AGCグループとして初の事例。
本試験では、ガラス製造において水素燃料による酸素燃焼技術の活用が、ガラスの品質、炉材への影響、火炎温度、炉内温度、窒素酸化物(NOx)排出量の抑制などに与える影響についてAGCが検証した。今回の試験の排ガスに含まれるNOx濃度は、ガラス溶解炉の温度を維持しつつ、従来の燃料による燃焼と同等レベルに抑制する結果が得られたとしている。
今後は、水素燃焼専用バーナーの燃焼能力をスケールアップした試験や、AGCグループの他拠点における実証実験の検討、水素燃焼技術の活用範囲を見極めた上で本格導入をめざすAGCを日本エア・リキードは引き続き支援する。
日本エア・リキードのイリョン・パク会長兼CEO は「エア・リキードは長きにわたりガラス製造のお客様へ製品とサービスを提供しています。現在は効率の向上と排出削減の両立が大きな課題との認識で解決策の提案につとめています。当社のガラス製造向け技術と製造から流通にいたる包括的な水素に関する知見がガラス製造実生産炉における水素利用の成功に、さらにはAGCのサステイナビリティに向けた取り組みに貢献できますことを大変喜ばしく存じます」とコメントした。
AGCグループはグローバルにガラス生産を展開しており、地域特性や時期に合わせて最適なGHG排出削減施策を使い分けられるよう、各種技術開発に取り組んでいる。今回の水素を燃料とした実証試験は、2023年6月に実施したアンモニアを燃料とした実証実験に続くものとなる。AGCグループは中期経営計画 AGC plus-2023 のもと、引き続きサステナビリティ経営を推進し、2050年のカーボンネットゼロ(Scope1およびScope2)達成を目指す。