「巴商会 新砂水素ステーション」で「水素エンジントラック実証走行」の出発式

環境省「水素内燃機関活用による重量車等脱炭素化実証事業」

 既存のディーゼルエンジン搭載トラックを「水素化コンバージョン」する水素エンジンの開発を行うi Labo株式会社(以下「i Labo」)は、水素エンジンを搭載した中型トラック(総重量8トン以下)による、実貨物を搭載した物流業務を行う実証走行試験の開始にあたり、出発式典を2023年11月1日、東京都江東区の「巴商会 新砂水素ステーション」で開催した。

写真左から、(一社)カーボンニュートラル推進協議会 代表理事 増山壽一氏、(株)三芳エキスプレス 代表取締役 伊藤耕一氏、環境省 水・大気環境局 モビリティ環境対策課 脱炭素モビリティ事業室 室長 中村真紀氏、i Labo(株) 代表取締役 太田修裕氏、衆議院議員 石井拓氏

実証実験の概要                                     

 実証走行試験では、羽田空港から東京ディズニーランド周辺ホテルの固定ルートのピストン輸送を、インバウンドを中心とした旅行者のスーツケースなどの運送業務に水素エンジン搭載トラックを使用する。

 実証走行試験は3か月間実施し、その間、一般道並びに高速道路での走行、隣接水素ステーションでの水素充填作業、実貨物の集荷・配達を行う。出力、燃費、安全性、耐久性、ドライバビリティーなどを検証し、水素エンジン搭載トラックの普及によって産業領域における脱炭素化の早期実現に向けた取り組みを進める。

i Labo概要                                                       

 水素エンジンによる産業領域における脱炭素化の早期実現を目指すi Laboは「水素化コンバージョン」普及促進の為、i Labo山梨R&Dセンターの水素専用エンジンベンチにて水素エンジンの開発を進めている。同社によれば、トラックのみに限らず、その他輸送機械、重機等の産業機械、発電機、船舶、鉄道車両などへの適用が可能で、幅広い領域に脱炭素化を安価かつ簡易、早期に実現することが可能だとしている。

 水素化コンバージョンは既存のエンジン技術を活用するため製造コストを抑えることができるだけではなく、燃料電池と異なり高品位水素(Grade-D水素)を必要としないことからも、化学工場などの低コストの副生水素の活用により、燃料としての水素コストそのものの低減が可能。また、水素化コンバージョンの普及は、世界に誇る日本のエンジン技術を活用することで、日本の産業競争力の維持・拡大にも貢献できるとしている。