岩谷産業中央研究所にパナソニック製純水素型燃料電池(5kW×20 台)を導入
蒸発ガスや廃棄水素ガスを回収し有効利用、‐253℃液化水素冷熱エネルギーの実証研究
岩谷産業は、水素エネルギーの研究開発拠点である中央研究所・岩谷水素技術研究所において、CO2 を排出しない研究所の実現に向けた取り組みを加速するため、パナソニック製の 5kW 純水素型燃料電池を 20台連結し、トータル 100kW の燃料電池発電を導入した。
燃料電池への供給ガス種は、純水素(水素濃度 99.97%以上)でガス供給圧力 50kPa±10kPa、設置環境温度-10℃~40℃、発電出力が100kW(5kW×20 台)、出力電圧は三相三線式 200V。施工はパナソニック環境エンジニアリング株式会社。
岩谷産業は中期経営計画「PLAN27」において、国内関係会社におけるCO2 排出量を 2030年度には 2019 年度実績比で 50%削減することを掲げているが、同研究所では CO2 排出量を 100%削減するカーボンニュートラルを目指し、太陽光発電の増設や照明の LED 化の整備を進めている。
今回のパナソニック製純水素型燃料電池の導入により、CO2 排出量を大幅に削減するとともに、パナソニックとのコジェネレーション共同実証研究や太陽光発電とのエネルギーマネジメントシステム(EMS)の実証研究を進めていくことで、脱炭素社会の実現に向けた工場や事務所のエネルギー供給モデルを提唱する。
本実証で使用する水素は液化水素貯槽から供給するが、水素吸蔵合金を用いた水素回収設備を設け、液化水素貯槽から発生する蒸発ガス(BOG)や実験で使用した廃棄水素ガスを回収し有効利用するシステムとした。また、純水素型燃料電池の設置に伴い、‐253℃の液化水素から発生する冷熱エネルギーを定常的に得られることから、冷熱エネルギー利用の実証研究(※1)を加速させる。
今後、岩谷産業が進める「CO2 フリー水素サプライチェーンの構築」(※2)により液化水素の利用拡大が想定されており、今回のカーボンニュートラルな研究所の実現に向けた取り組みは、CO2 の削減に寄与するだけでなく、脱炭素社会の実現に向けた需要創出の一つの取り組みになるとしている。
※1:液化水素の冷熱を建物に利用する実証に大林組とともに取り組む(2022年8月31日付プレスリリース)
※2:CO2フリー水素サプライチェーン:再生可能エネルギー等のCO2 を排出しないエネルギーを用いて水素を「つくる」事業や液化水素などを「はこぶ」「つかう」の一連のサプライチェーン