高圧ガス工業 2024年3月期第3四半期連結決算

溶解アセチレンの建設・土木関連の現場向け出荷数量は減少も、造船業界向けが回復

 高圧ガス工業の2024年3月期第3四半期連結決算は、売上高694億5900万円(前年同期比2.5%増)、営業利益45億4300万円(同16.0%増)、経常利益53億0000万円(同17.6%増)、親会社株主に帰属する純利益36億9000万円(同20.4%増)だった。直近公表の通期連結業績予想と年間配当金予想に変更は無い。

 セグメント別の経営成績は次のとおり。

ガス事業

 売上高は508億8200万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は44億9400万円(同5.7%増)。

 原材料の供給制限が緩んだものの、鉄鋼、自動車、化学、半導体、建設など仕向け先全般において、需要回復が鈍く、厳しい状況で推移した。シリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、生産・販売体制の見直しを行ない、地域に密着した営業に努めた。また、カーボンニュートラル社会の実現に向け、環境負荷の低い液化アンモニアや水素ガス等の供給網整備に継続して取り組んだ。

 『溶解アセチレン』は、建設及び土木関連の現場向け出荷数量が減少したものの、造船業界向け出荷数量の回復と原材料価格の上昇による価格改定により、売上高は前年同期を上回った。

 『その他工業ガス等』は、酸素、窒素、アルゴンが充填所及び大手ユーザー向けに需要が減少、炭酸が製造メーカーの生産量の減少に伴なう出荷制限、LPガス等は需要の減少により出荷数量はそれぞれ減少した。売上高ではLPガス等が輸入価格の下落に伴なう販売価格の低下により減少したが、各種原材料価格の上昇による価格改定を実施し、前年同期並み。

 『溶接溶断関連機器』は、設備工事や工作機械等の受注が減少し、売上高は前年同期を下回った。

 『容器』は、半導体及び一般工業用向け容器の出荷数量が減少したものの、原材料価格の上昇による価格改定により、売上高は前年同期を上回った。

化成品事業

 売上高は157億6900万円(前年同期比0.7%増)、営業利益は9億7500万円(同40.8%増)。

 『接着剤』は、ペガールが紙用の新製品開発により販売が増加したが、土木建築用・塗料用の需要が減少した。シアノンが欧米向け高機能品の需要が増加したが、アジア・南米向けの需要が減少した。ペガロックが中国向け弱電用がロックダウン解除により需要が回復したが、国内向けが住宅設備関係の需要が減少。接着剤全般の売上高は、原材料価格の上昇に伴なう価格改定があったが、前年同期を下回った。

 『塗料』は、外装用高機能品の「ビーズコートシリーズ」の伸長、防水需要の回復、海外向け工業用の伸長があったが、建築汎用塗料は戸建改修の需要低迷により販売が減少した。また、エアゾール製品は需要が減少した。塗料全般の売上高は、原材料価格の上昇に伴なう価格改定もあったが、前年同期を下回った。

その他事業

 売上高は28億0700万円(前年同期比18.3%増)、営業利益は1000万円(前年同期は5600万円の営業損失)。

 LSIカード関連及び食品添加物の需要が増加し、価格改定もあり前年同期を上回った。