レゾナック、川崎プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR)設立20周年式典を開催

川崎市の臨海コンビナートとの連携、プラスチックガス化モデルのライセンス展開、繊維原料への資源循環の実証などを紹介

 レゾナックは2024年3月13日、同社川崎事業所のプラスチックケミカルリサイクル事業(以下、「KPR」)*1が稼働開始から20周年を迎えたことを記念し、川崎日航ホテルにて記念式典を開催した。式典には、地元・川崎市の福田紀彦市長をはじめ、日頃プラント運営に携わる企業、KPRで使用済みプラスチックをリサイクルして生み出されたアンモニア・水素の取引先、今後の共創パートナー企業など、事業を共に支えているステークホルダーとレゾナック関係者約120名が出席し、レゾナックから感謝を伝えるとともに今後の発展を祈念した。

川崎プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR)設立20周年式典
川崎プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR)設立20周年式典

 式典ではレゾナックの髙橋秀仁社長より、川崎市をはじめとするステークホルダーに対して「当社の目指すべき姿は『共創型の化学会社』です。KPRはさまざまなパートナーの皆さまのご支援により、稼働開始から20年を迎えることが出来ました。改めて感謝申し上げます。当社は、サステナビリティを経営の根幹に据えております。その中、今時代が求めているカーボンニュートラルの取り組み、循環型社会を支える仕組みとして、KPRは世界に誇るべき技術だと考えております。20年の苦労を共にした皆さまとともに、KPRの技術をここ川崎から世界に展開し、新たな共創の輪を構築してまいります」と感謝の気持ちを伝えた。

 続いてKPRを管轄する基礎化学品事業部より、KPRの20年間の歩みを紹介。また、将来に向けた取り組みとして、川崎市が推進する「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」「川崎臨海部ビジョン」実現に向けた川崎市の臨海コンビナート各社との連携、日揮ホールディングスを通じたプラスチックガス化モデルの国内外へのライセンス展開や、伊藤忠商事との「ARChemia (アルケミア)プロジェクト」による繊維原料への資源循環の実証実験など、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けた共創パートナーとの活動を紹介した。

 レゾナックは2003年より、使用済みプラスチックをアンモニアなどの化学品原料にリサイクルするプラスチックケミカルリサイクル事業に取り組んできた。KPRはガス化ケミカルリサイクルを20年の長期にわたって安定運転している世界で唯一のプラントであり、2022年1月には、使用済みプラスチックのリサイクル量が累計100万トンを達成した。レゾナックでは今後も、KPRをサステナビリティ戦略を代表する事業のひとつとして位置付け、脱炭素社会・資源循環型社会の構築に貢献する。

*1.プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR)
 KPRでは使用済みプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素とCO2を取り出す(ガス化ケミカルリサイクル)。定常運転中には化石燃料をまったく使用しない。ここで取り出された水素の一部は近隣プラントにて化学原料向けや水素ステーションにて燃料自動車向けに活用され、そのほかは主にアンモニアの原料になり合成繊維、合成樹脂、化学肥料、薬品などに使われる。

 一方のCO2は大気中に放出することなくグループ会社でドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用されるなど、資源循環を実現し持続可能な豊かな社会実現に向け活躍する。KPRは2015年より環境省の「地域循環型水素地産地消モデル実証事業」に採択されているほか、2016年の「エコマークアワード銀賞」受賞、2020年の「グリーン購入ネットワーク経済大臣賞」受賞など、その取り組みが高く評価、期待されている。

KPR20年の歩み
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