エア・ウォーター北海道など4社、北海道千歳エリアでグリーン水素供給の検討

水素製造・貯蔵サイト候補地検証や輸送方法を検討、2030年までに水素拠点を構築

 三菱商事、高砂熱学工業、北海道電力およびエア・ウォーター北海道の4社は、北海道千歳エリアにおけるグリーン水素供給に向けた共同検討に関する協定を締結した。北海道、千歳市や需要家企業と協力し、関連自治体と連携の上で2030年までに水素拠点を構築、千歳エリアはもとより他地点との連携も進めていくことでグリーン水素サプライチェーンの実現を目指す。

グリーン水素サプライチェーンのイメージ
グリーン水素サプライチェーンのイメージ

 2024年5月31日には、本検討に関連する事業性調査(FS)「千歳市内でのグリーン水素供給ならびに道内他拠点との連携を見据えたインフラ整備に関する調査事業」が、資源エネルギー庁の「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(水素等供給基盤整備事業)」の対象として採択されている。4社は、今後、協定に基づき、地産地消型のグリーン水素供給に向け、需要家のニーズも踏まえて、水素製造・貯蔵サイト候補地の検証や輸送方法など最適な供給方法の検討を進める。

 水素は電気をはじめとする様々なエネルギー源からの製造が可能であり、燃焼時にCO2を排出しないことから、カーボンニュートラルの実現に向けて重要なエネルギーとされる。2023年6月に改定された政府の「水素基本戦略」の中でも、国内における水素の製造および供給体制の構築は、エネルギー政策の観点から重要視されている。加えて、水素はその利活用において、燃料としての用途だけでなく、アンモニアやメタノールなど化学品の原料としても活用の可能性があることから、幅広い産業分野から期待が寄せられている。

 4社が事業化を目指す千歳エリアは、北海道の空の玄関口である新千歳空港や、様々な企業群が集積している工業団地を有する。さらに、次世代半導体の量産製造拠点の立地が決定していることから、脱炭素化の手段としてグリーン水素の活用ニーズが見込まれる。また、千歳市は、2022年2月7日に「千歳市ゼロカーボンシティ宣言」を表明し、2050年までにカーボンニュートラルを実現するため、グリーン水素の地産地消を目指している。

各社概要

三菱商事株式会社

  • (創立)1954年
  • (本社)東京都千代田区丸の内二丁目3番1号
  • (代表者)代表取締役 社長 中西 勝也
  • (事業内容)地球環境エネルギー、マテリアルソリューション、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業、S.L.C.(Smart-Life Creation)、電力ソリューションの8グループ体制で、幅広い産業を事業領域として多角的なビジネスを展開。 

高砂熱学工業株式会社

  • (創立)1923年
  • (本社)東京都新宿区新宿6丁目27番30号
  • (代表者)代表取締役社長 小島 和人
  • (事業内容)空調設備工事の設計・施工を中心に、建物ライフサイクル全般にわたってのトータルなサービスを展開。グループパーパス「環境革新で、地球の未来をきりひらく。」のもと、心地よい環境を創造する「環境クリエイター®」として脱炭素・サステナブル社会の実現に寄与する技術・サービスの創出に取り組んでいる。

北海道電力株式会社

  • (創立)1951年
  • (本店)北海道札幌市中央区大通東1丁目2番地
  • (代表者)代表取締役社長執行役員 齋藤 晋
  • (事業内容)電気・ガスの供給とともに、エネルギーに関する幅広いソリューションサービスを展開。「カーボンニュートラル2050への挑戦」を掲げ、再生可能エネルギーの導入拡大や泊発電所の活用に加え、水素・アンモニア利活用などにも取り組んでいる。

エア・ウォーター北海道株式会社

  • (創立)1978年
  • (本社)北海道札幌市中央区北3条西3丁目1番地
  • (代表者)代表取締役社長 庫元 達也
  • (事業内容)産業ガス、医療、エネルギー、農業食品の事業を北海道で展開。地域に密着した事業基盤を活用することで、エア・ウォーターグループが有する多彩な技術・製品・サービスをアレンジし、地域のニーズに合った新市場の掘り起こしを推進するとともに、地域の課題解決に貢献している。