高松帝酸 ガス技術部、フッ素ガス表面処理事業を拡大

ゴム材料の高機能化や樹脂微細流路の親水性を向上

 高松帝酸ガス技術部は2024年6月19日~21日、東京ビッグサイトで開催された「第29回機械要素技術展」に出展し、同社が2000年から開始した「フッ素ガス表面処理」事業についての様々な取組みを紹介した。同社のフッ素ガス表面処理は、一般にフッ素コーティングと呼ばれるような表面に積層コーティングを施す技術と異なり、フッ素ガスを基材と接触(気相処理)させ、対象物質の表面を化学的に変化させる処理。対象となるのは、高分子(ゴム、プラスチック)や無機物(金属、ナノ材料、炭素材料)などの広範囲な物質への適用が可能としている。期待される効果も潤滑性向上、粘着性除去、固着防止、耐久性向上、密着性向上、親水化など多種多様な特異性能の付与が想定されている。

 また、フッ素ガスを対象表面に接触させるだけで処理をおこなうため、形状を問わずチューブの内面や曲面、微細構造などのどんな形でも全面均一な処理ができる。フッ素ガス表面処理は、極めて反応性の高い有毒なフッ素ガスを使用するため、その取扱いには高い専門知識や専用の装置が必要とされるが、高松帝酸では独自の技術支援センターを用意しており、研究開発から確認試験、受託生産、生産設備販売までのすべてを実施している。

高松帝酸ブース
高松帝酸ブース

 ブースでは、ゴムの表面処理による高機能化や微細で複雑な形状の流路への均一な親水化事例、CFRPのめっき密着性向上による用途拡大や軽量化、フロロバリヤー容器の高機能化などのフッ素ガス表面処理のサンプル品を展示して様々な製品・部品の付加価値向上の提案をおこなった。素材や処理条件によって効果の程度は異なるが、シリコーンゴムやフッ素ゴム(FKM)、エチレンプロビレンゴム(EPDM)の処理では、摩擦係数75%以上の低減、凝着力99%以上の低減の効果を確認している。

「フッ素ガス表面処理」

 フッ素ガス表面処理はフッ素ガスによる気相処理のため、処理品の形状が自由で一体成型品や貼り合わせ後の流路などに対しても内部まで均一な処理が可能。親水化性能の長期安定性にも優れ、半年以上の保持性能があって水洗いしても効果が消えないとしている。適用可能な樹脂材料も多く、血液検査の微量採取のため内面の親水性による毛細管現象が必要なスポイトや、マイクロ流体デバイスの高機能化や低コスト化に利用されている。

「樹脂微細流路親水化」でフッ素ガス表面処理したスポイト
「樹脂微細流路親水化」でフッ素ガス表面処理したスポイト