岩谷産業 2025年3月期第1四半期連結決算

産業ガス・機械事業の売上高603億7100万円(2.9%減)、営業利益32億8600万円(32.9%減)

 岩谷産業の2025年3月期第1四半期連結決算は、売上高1975億1900万円(前年同期比2.2%減)、営業利益84億1900万円(同1.1%減)、経常利益150億3800万円(同41.7%増)、親会社株主に帰属する純利益116億0100万円(同61.7%増)となった。LPガスの輸入価格が前年同期を上回り、販売価格が上昇したものの、ステンレスや二次電池材料の販売低迷や、主にアジアでのヘリウム市況軟化により、売上高は減収となった。利益面では、産業ガス・機械事業、マテリアル事業において工業分野向け商品が低調に推移し、営業利益は減益となったが、コスモエネルギーホールディングスの持分法投資利益が営業外損益として計上されたことなどから、経常利益、四半期純利益は過去最高益を更新した。通期業績予想と年間配当金予想に変更はない。

当期の経営成績の概況

 水素エネルギー社会の実現に向け、トラックターミナル内の水素ステーションとしては国内初となる岩谷コスモ水素ステーション平和島を開所した。また、東京都内に新たに商用車向け水素ステーションの建設に着手するなど、水素需要の拡大に取り組んだ。
 総合エネルギー事業では、LPガスの輸入基地である根岸液化ガスターミナル内に建設したシリンダー充填所の稼働を開始。同敷地内にて輸入と充填・配送を実施することで物流の効率化を図り、関東・首都圏エリアでの供給体制と収益力の強化を図る。
 産業ガス・機械事業では、ヘリウムガスや半導体材料ガス、エアセパレートガスなど製造能力を拡充したガスセンターを新たにシンガポールに開設し、東南アジアでの事業拡大を推進する。
 マテリアル事業では、国内発電所向けにバイオマス燃料の販売強化を図った。

 セグメント別の状況は次のとおり。

【総合エネルギー事業】

 売上高は825億6700万円(前年同期比56億0600万円の増収)、営業利益は32億6700万円(同16億6600万円の増益)。

 LPガスの輸入価格が前年同期を上回り、販売価格が上昇したことに加え、工業用LPガスの販売数量が堅調に推移し、増収。利益面においては、LPガスの収益性が小売部門では低下した一方、卸売部門では改善し、また市況要因がプラス(前年同期比16億5800万円の増益)となり、増益となった。

【産業ガス・機械事業】

 売上高は603億7100万円(前年同期比18億1100万円の減収)、営業利益は32億8600万円(同16億1300万円の減益)。

 エアセパレートガスについては、電子部品業界向けを中心に販売が堅調に推移した。水素事業は、宇宙開発向けに液化水素の販売数量が増加。一方で、特殊ガスについては、主にアジアでヘリウムの市況が軟化し、収益性が低下した。また、機械設備については、自動車関連向け設備やガス供給設備の販売が減少した。

【マテリアル事業】

 売上高は473億1600万円(前年同期比80億0400万円の減収)、営業利益は25億2900万円(同2億4000万円の減益)。

 エアコン向けを中心とする樹脂製品の売上が増加したことに加え、海外ミネラルサンド事業は自社鉱区での生産・販売が堅調に推移した。一方で、ステンレスや次世代自動車向け二次電池材料は、市況価格の下落や販売先での在庫調整の影響等により販売が低迷した。

【その他】

 売上高は72億6300万円(前年同期比1億8000万円の減収)、営業利益は7億8800万円(同1億7700万円の増益)。