エア・ウォーター、「セブン‐イレブン」の駐車場で垂直ソーラー発電「VERPA(ヴァルパ)」の共同実証

ロードサイド店舗の駐車場や積雪地に最適な太陽光発電、1店舗あたり年間9.42t-CO2以上削減

 エア・ウォーターは、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンと、2024年8月よりセブン‐イレブン迫佐沼北方店(宮城県登米市)、セブン‐イレブン蔵王みはらしの丘店(山形県山形市)の2店舗で、積雪地のコンビニエンスストアに対応した垂直ソーラー発電システム「VERPA(ヴァルパ)」の共同実証運用を開始する。

 共同実証では「セブン‐イレブン迫佐沼北方店」と「セブン‐イレブン蔵王みはらしの丘店」の駐車場に景観対応型の「VERPA」を各24ユニット設置する。積雪地のコンビニエンスストア用の自家発電設備として、両面受光型の垂直ソーラー発電システムの導入が、優れた経済的効果とCO2削減性能を示すことを実証する。得られる電力は同店舗で全量消費されるが、災害時や停電時には非常用電源として活用できる設計。今回の導入による両店舗のCO2排出量の削減効果は1店舗当たり▲約15%を見込む。

 エア・ウォーターは国産バイオマス資源の高度利用事業やCO2回収技術の提供などを通じて、日本の早期ゼロ・カーボン化に貢献すると同時に、地域経済活性化やエネルギーの地産地消モデルの創出により、SDGsの達成に向けた取り組みを進めている。太陽光発電システムの導入は多くの企業が最初に着手する脱炭素手法だが、空いた土地が無い、屋根の強度が足りない、カーポートは置けないなどの理由から、実現できずにいる事例は少なくない。エア・ウォーターはこのような課題を解決するため、高性能な両面受光型発電パネルを垂直に配置する「VERPA」を開発した。本実証を通じて、具体的な脱炭素手法が見出せずにいる多くの事業所にとって、本製品が選択可能で最適な解決策であることを示すとしている。

 「VERPA」は高さ制限が必要な屋根構造を持たないため、貨物自動車やハイルーフ車両なども利用する道路沿いの商業施設(ロードサイド店舗)の駐車場に適する。また、雪による影響を受けにくいため、これまで太陽光発電が不適とされてきた積雪地に最適なシステム。多様な自動車や不特定な人々が利用するロードサイド店舗の駐車場に垂直ソーラー発電システムを設置することは、世界初の事例(エア・ウォーター調べ)。

 セブン‐イレブンはこれまで、店舗運営に伴うCO2排出量削減の取り組みとして、店舗屋根上への太陽光発電パネルの設置を進めており、全店舗のおよそ4割に当たる約9,000店舗への設置を完了している(2024年2月末時点)。一方、積雪等による影響で十分な発電効果が得られないエリアでの導入は難しく、解決策の検討を続けてきた。

 エア・ウォーターは2023年4月にドイツのNext2sunと、同社が保有する特許を用いて駐車場や緑地・農地などと併用可能な垂直ソーラー発電システム「VERPA」を共同で開発した。積雪・雹・黄砂・花粉・落葉・鳥による落石や糞などの被害の懸念が不要であり、反射光は足元に落ちるため周辺住民からの苦情リスクもない。地表面からモジュール最下部までの高さを2m以上確保しているので、保安用の立ち入り禁止のフェンスが不要で人々が行き来する生活圏で共存することができる。必要面積がわずかで済むため導入が容易で、工作物として市街化調整区域にも設置できる。

共同実証運用の概要

  • 実証期間:2024年8月~2027年3月
  • 実証内容:ロードサイド店舗、積雪地のコンビニエンスストアでの垂直ソーラー発電システム導入の有効性を確認する(屋根置き型同等以上の発電性能、フリーメンテナンス性、耐荒天候、店舗利用者の評価などを検証)
  • 実施場所:セブン‐イレブン迫佐沼北方店 駐車場(宮城県登米市迫町佐沼字新大瀬144)、セブン‐イレブン蔵王みはらしの丘店 駐車場(山形県山形市みはらしの丘1丁目4番地2)
  • 設置数 :各24ユニット(モジュール総発電能力 25.2kW-DC/パワコン出力 9.9kW-AC)
  • 発電量 :1店舗あたり年間目標 20千kWh以上 
  • 年間CO2削減量:1店舗あたり9.42t-CO2 以上(東北電力のCO2排出係数 0.471kg-CO2/kWhで計算)