二酸化炭素の流通を可視化、e-methaneの環境価値管理や移転のデジタルプラットフォーム
「CO2NNEX®(コネックス)」を2025年日本国際博覧会で実装
大阪ガスと三菱重工業の2社は、二酸化炭素(以下、CO2)の流通を可視化し、e-methane(以下、e-メタン)の環境価値*1管理や移転を行う都市ガス業界初のデジタルプラットフォーム「CO2NNEX®(コネックス)」を2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)で実装することについて合意した。また、本プラットフォームではe-メタンでの利用に加え、将来的なカーボンリサイクル燃料(e-fuel・SAF・グリーンLPG)への適用拡大の可能性を追求する。
2024年4月1日より、e-メタン・バイオガスの環境価値を証書化するクリーンガス証書の民間運用が開始され、電力での非化石証書と同様の運用がガスでも進むことから、クリーンガス証書における環境価値の取引・移転を管理するシステムが必要となる。CO2NNEX®では、e-メタンの社会実装で必要となるe-メタン属性データ(製造量、原料となるCO2量・H2量 等)の管理機能や、e-メタン・バイオガスが創出する環境価値の管理・移転機能を搭載する予定。搭載機能に関しては、一般社団法人日本ガス協会からアドバイスを受け、実装を進める。(図1)
大阪・関西万博開催期間中は、会場内の迎賓館の厨房等に対して “会場内で製造するe-メタン” や “e-メタン・バイオガスの環境価値を付与した天然ガス” 等を大阪ガスが供給する見込み。本プラットフォームを用いて、会場内のe-メタン製造・利用実証*2における属性データや創出された環境価値を管理するとともに、日本各地の都市ガス事業者が製造したe-メタン・バイオガスの環境価値を、万博会場に供給する大阪ガスの天然ガスに移転することで、大阪・関西万博のカーボンニュートラル化に貢献する。(図2)
大阪ガスは提供する都市ガスの1%に相当するe-メタンを2030年に導入することを目指しており、今後e-メタンや環境価値の取引量は大幅に増加するため、e-メタン属性データの管理や環境価値の管理・移転が出来る本プラットフォームの利用拡大を見込む。e-メタン以外のカーボンリサイクル燃料(e-fuel・SAF・グリーンLPG)も導入の検討が進んでおり、e-メタンと同様に取引量の増加に伴い属性データの管理や環境価値の管理・移転を行うシステムが必要になると考えられる。また、カーボンリサイクル燃料のようなCCU*3(CO2の再利用)とあわせてCCS*4(CO2の貯留)も今後実用化が見込まれるため、CO2の流通管理が可能である本プラットフォームの適用拡大について可能性を追求する。更に、日本だけでなくe-メタンやSAFの導入を検討するアジア諸国への展開も目指す。(図3)
*1 環境価値:⼤気中に放出されるCO2(または大気中にあるCO2)を回収し、e-メタンの原料としてカーボンリサイクルするため、e-メタンを利用しても(燃焼させても)、⼤気中のCO2は実質的に増えず、CO2の排出量は実質ゼロとなる。
*2 e-メタン製造・利用実証:環境省の「既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築実証事業」に採択され実施している、都市部における再エネ由来水素と生ごみ由来バイオガスを活用したメタネーションによる水素サプライチェーン構築・実証事業。
*3 CCU:二酸化炭素の回収・利用(Carbon dioxide Capture and Utilization)
*4 CCS:二酸化炭素の回収・貯留(Carbon dioxide Capture and Storage)