高圧ガス工業 2025年3月期第2四半期連結決算

溶解アセチレンは建設・造船業界向け需要減少も、自動車産業向け一部需要回復と価格改定で売上は前年同期比増加

 高圧ガス工業の2025年3月期第2四半期連結決算は、売上高475億1700万円(前年同期比6.0%増)、営業利益27億3700万円(同4.4%増)、経常利益30億2300万円(同6.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益20億1700万円(同9.0%減)だった。通期業績予想と年間配当金予想に変更はない。

 セグメント別の経営成績は次のとおり。

ガス事業

 売上高は348億1000万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は30億0300万円(同12.1%増)。

 鉄鋼、自動車、建設など仕向け先において、需要回復が鈍く、厳しい状況で推移。シリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、地域に密着した営業に努めるとともに、カーボンニュートラル社会の実現に向け、環境負荷の低い液化アンモニアや水素ガス等の販売や供給網整備に取り組んだ。また、従来の熱処理工法よりCO2発生量を90%以上削減できる溶解アセチレンを用いた新工法を開発し、推進。
 『溶解アセチレン』は、建設及び造船業界向けに需要が減少したが、自動車産業向けの一部需要回復と価格改定により、売上高は前年同期を上回った。
 『その他工業ガス等』は、酸素、アルゴンが新規獲得及び納入先の需要回復、窒素が食品向けの需要増加及び半導体向け需要回復により増加し、LNG、アンモニア及びフルオロカーボンは、新規獲得により増加。また、LPガス等は、輸入価格の上昇に伴なう販売価格の上昇により増加し、売上高は前年同期を上回った。
 『溶接溶断関連機器』は設備工事や工作機械等の受注が一部回復し、売上高は前年同期を上回った。
 『容器』は、水素用長尺容器の新規獲得や消火設備装置向け容器の需要が増加し、売上高は前年同期を上回った。

化成品事業

 売上高は107億9300万円(前年同期比4.6%増)、営業利益は甲賀工場の初期投資の影響で4億3800万円(同23.5%減)と減益。

 円安影響やナフサ価格の上昇による原材料価格の高騰が続く厳しい状況で推移。更なる生産体制の増強と供給体制を拡充するため、甲賀工場を建設し、名古屋工場(化成品)を閉鎖した。引き続き仕向け先への製品の安定供給、並びに新しい技術開発により、環境配慮型水性接着剤や高耐候性塗料など環境にやさしい製品や付加価値の高い製品づくりに努めた。
 『接着剤』は、ペガールは木工用・塗料用が減少したが、土木建築用・紙工用が新規獲得により増加。シアノンは南米向けが減少したが、韓国・フィリピン向けの需要が増加、また、タイ向けが新規案件の獲得により増加した。ペガロックは欧米向けの需要が増加。売上高は、接着剤全般の原材料価格の高騰に伴なう価格改定もあり、前年同期を上回った。
 『塗料』は、建築用塗料の戸建塗替え需要の低迷が続くなか、「ウォールバリアシリーズ」「ビーズコートシリーズ」等の高機能製品は伸長したものの、一般建築塗料・防水用塗料・工業用塗料が減少。また、エアゾール製品は防水スプレーは伸長したが、売上高は、前年同期を下回った。

その他事業

 売上高は19億1300万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は600万円(同29.3%増)。

 LSIカード関連の需要が減少したものの食品添加物の需要が増加し、前年同期を上回った。