オープンイノベーション拠点「エア・ウォーターの森」を札幌市桑園に開業
大学や企業、自治体、スタートアップと連携、北海道の社会課題解決に関わる新事業の創造、開発、発信拠点
エア・ウォーターグループで北海道での事業推進を統括するエア・ウォーター北海道が、札幌市中央区のJR桑園駅近くに建設を進めていたオープンイノベーション拠点『エア・ウォーターの森』がこのほど完成し、2024年12月6日(金)に開業する。
エア・ウォーターグループは、世界的な社会課題を踏まえた「地球環境」と「ウェルネス」という成長軸に沿って、強みである「多様な事業、人材、技術」を掛け合わせることでシナジーを生み出し、「社会課題の解決を通じた、新たな企業価値の創造」を目指している。
エア・ウォーター創業の地である北海道は、広大な土地と豊かな自然環境に恵まれるとともに、食や観光をはじめとした世界に広がるブランド力を有する一方、人口減少や高齢化、それに伴う経済活動の縮小や公共サービスの低下といった社会課題が全国に先んじて顕在化している。
こうした中、グループは道内各地の課題を広く収集し、その解決に向けた取り組みを進めるオープンイノベーション推進施設『エア・ウォーターの森』を建設した。大学・研究機関、自治体、企業・スタートアップなどと連携し、新たな発想と協働によって地域課題解決に貢献するイノベーションや新しい価値を生み出すことで、「エネルギー・環境」や「農業・食」を中心とした新事業の創出に取り組む。
今後もエア・ウォーターグループでは、北海道を新事業創出の最重要エリアと捉え、課題解決型の事業モデルをいち早く構築することで、カーボンニュートラル化や人口減少といった市場環境の変化に対応し、地域の社会課題解決とともにグループの企業価値の向上を目指す。また、2023年度よりスタートした「ふるさと応援H(英知)プログラム」事業※¹と共通の取り組みとして、地域課題の解決に向けた連携を図る。
※1 道内179の自治体を対象に、2023年度から2030年度までの8年間で総額10億円を寄付する支援事業。詳細は紹介サイト(https://airwater-hprogram.jp/)
『エア・ウォーターの森』概要
北海道の知を集結し、北海道の強みを活かした新しい事業を創出するオープンイノベーション施設。木造建築で吹き抜けが特徴的な施設内にはコワーキングスペースやラボを備え、大学や自治体、地元企業やスタートアップなどと連携、地域住民の方々との交流を深めながら、新しいアイデアと発想で「エネルギー・環境」「農業と食」を中心とした地域の社会課題解決に取り組む。さまざまなステークホルダーと連携を図りながら、イノベーションの創出や新しい価値づくりを目指し、社会課題解決のための交流会やイベント、新ビジネス支援などさまざまな企画を進める。
- 所在地:北海道札幌市中央区北8条西13丁目28-21
- 面積:敷地面積 5,190㎡、延床面積 8,444㎡(木造建築 一部鉄骨造、4階建)
- スケジュール:着工 2023年9月、竣工 2024年10月、開業 2024年12月6日
- 総工費:約50億円
- 設計・施工:株式会社竹中工務店
『エア・ウォーターの森』各フロアの特長
(1)ウェルネスフロア(1階・屋上)
- 各種イベントの開催に適した多目的ホールやキッチンラボ、インナーテラスには水素燃料電池を設置。
- レストラン「EUREKA」ではグループが手がける食材を使用し、グループの「食・農業」の魅力や強みに触れられる運営を目指す。
- 北海道の気候に配慮し、冬でも地域の住民が気軽に入れる公園のような開かれた場を設置。屋上のルーフガーデンはガーデンデザイナーの佐藤未季氏が監修、緑に囲まれた憩い・くつろぎの空間をデザイン。
(2)オープンイノベーションフロア(2階・3階)
- 大学や研究機関、スタートアップ企業等が入居する個室エリアを2階に、会議室やセミナールームを複数設けたコワーキングおよびラーニングコモンズエリア(知を共有する創造的な学習空間)を3階に設置。自治体のサテライトオフィスとして利用することも可能。
- 館内に集う人々の交流を促すことで、お互いがもつさまざまなリソースを掛け合わせ、イノベーションの種を生み出す。社外パートナーとのコラボレーションを積極的に推進することで、社会課題解決型の新たな事業を生み出す場として活用。
(3)オフィスフロア(4階)
- 多様なコミュニケーションを通じて生まれたアイデアの事業化を図るため、エア・ウォーター北海道の本社機能の一部も含め、グループのオフィスフロアを設置。従来の事業の枠組みを越えた、さまざまなバックグラウンドをもつ従業員が集う。
- 本施設はグループにおける北海道初の開発拠点であり、エネルギーや農業・食品分野を中心とした新事業に関わる開発者も駐在。
木造建築に込めた想い
『エア・ウォーターの森』は耐火集成材「燃エンウッド®」※²を構造体として採用し、その主要材に北海道産カラマツを100%使用した4階建ての施設。木造建築としては北海道内で一番大きな建物で、斜め柱が特徴的なつくりとなっている。エア・ウォーターは2022年9月に北海道と包括連携協定を締結し、道産木材の利用促進や木育の活動を進めており、道産木材を構造材等に利用し、緑豊かでシンボリックな空間を設け、市民が立ち寄り集まる施設を目指した。木造建築は建材製造時のCO₂排出量が少なく、木材への炭素貯蔵という木造建材の特徴から、一般的な鉄骨構造よりもカーボンニュートラル社会への貢献度が高まる。
また、当地に豊富な地下水を冷却用水やトイレ用水などの設備システムに用いるなど、地域特性に応じた省エネルギー技術を積極的に採用するとともに、外面のガラスには断熱効果の高いトリプルガスを採用、ガラスとガラスの間にはアルゴンガスを注入し、断熱効果を高めるなど、BELS※³認証最高位となる「★★★★★(星5つ)」相当の環境性能を有する。なお、本建設にあたっては、木造建築物の先導的な整備事例として、国土交通省「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」の採択を受けた。
※2 燃エンウッド®は、竹中工務店㈱の登録商標で、国土交通大臣より耐火構造の認定を受けた耐火集成材。
※3 BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)とは、建築物省エネ法第7条に基づき建築物の省エネ性能を表示する第三者認証制度の1つ。
(参考)エア・ウォーターグループのイノベーション・技術開発関連拠点について
エア・ウォーターグループのイノベーション・技術開発関連拠点は、国内最大級の医療クラスターである神戸産業医療都市に2019年5月、『国際くらしの医療館・神戸』をオープンした。2023年9月には、人生100年時代の「ウェルネス」に関わる事業の創造、開発、発信拠点として北大阪医療健康都市(健都)に『エア・ウォーター健都』を開業している。
「地球環境」分野については、長野県松本市に地産地消エネルギーによる資源循環モデルの開発施設『地球の恵みファーム・松本』において「バイオマスガス化発電」「メタン発酵発電」「スマート陸上養殖プラント」「スマート農業ハウス」の建設を進めており、2025年の竣工を予定する。
関連ニュースリリース
2023年9月29日:札幌・桑園にオープンイノベーション推進施設「エア・ウォーターの森」を建設 ~北海道の地域課題の解決につながる新事業創出へ~https://www.awi.co.jp/ja/news/release/news-29182509232978559555.html