泰国岩谷、タイでバイオエタノール由来の液化炭酸ガスプラント設立

日本を含めたタイ周辺国への輸出需要見込む、JETRO公募の補助金に採択

 岩谷産業の100%子会社である泰国岩谷会社(以下、泰国岩谷)は、タイ国内での事業拡大を目指し、バイオエタノール由来の液化炭酸ガスプラントの設立を検討する。検討するタイの新プラントからは、日本を含めたタイ周辺国への輸出需要も見込んでおり、岩谷産業は独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)が公募した「グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型 ASEAN 加盟国)(第二回)」に応募し、補助金の採択を受けた。

 この取り組みの背景には、世界的な慢性的炭酸ガス不足があり、タイでは 2022 年に深刻な炭酸ガス不足が発生している。日本でも毎年深刻な炭酸不足が発生、これは従来の石油精製由来の炭酸ガス生産量が、設備の老朽化やカーボンニュートラルの流れを受けて縮小傾向にあることが原因とされる。日本をはじめとする東南アジア地域では、BCP(事業継続計画)の観点から、さまざまな企業において炭酸ガス新プラントのニーズが高まっている。

 本事業で製造される炭酸ガスは、大気中の炭酸ガスを光合成により吸収して成長する植物(さとうきび)を原料としたバイオエタノールの製造工程において発生する副生物となる。従来の石油精製由来のものと比べ、炭酸ガス排出量の大幅な低減が見込まれ、こうしたグリーン炭酸を販売することでユーザーの脱炭素化に繋がることが期待される。

 また岩谷産業ではタイ以外の東南アジア各国でも、大気放出されている未利用の炭酸ガスソース獲得を検討する。特にインドネシアでは、慢性的に需給が逼迫し、中国等から輸入している状況。同国内ソース元との交渉を進め、早期に炭酸ガスソースの獲得を目指す。

補助金の概要

https://www.jetro.go.jp/services/grobal_south/kekka-gs2.html

  1. プロジェクト名:タイ国 バイオエタノール由来によるグリーン炭酸プラント製造計画
  2. 補助申請者名 :岩谷産業株式会社
  3. 共同事業実施者:泰国岩谷会社
  4. 採択決定日 :2025 年 3 月 19 日
  5. 事業実施期限 :2028 年 3 月 31 日
  6. 採択理由
    • 従来の石油精製由来の炭酸ガス製造設備が老朽化していくことや、カーボンニュートラルの進展に伴い、将来の製造量の減少が予想されるため、本事業はサプライチェーン強靭化に繋がること
    • タイで製造された炭酸ガスは、需給が逼迫する日本をはじめ東南アジア各国へ輸出する計画であること

泰国岩谷会社の概要

  • 会社名:Iwatani Corporation (Thailand) Ltd.
  • 所在地:Room No.2903, 29F, United Center Building, 323 Silom Road, Bangrak, Bangkok, 10500, Thailand
  • 代表者:祖父江 英一
  • 設立:1990 年 1 月