岩谷産業 2026年3月期第1四半期連結決算
ヘリウムの収益性が低下、LPガスの市況要因による減益影響で減益
岩谷産業の2026年3月期第1四半期連結決算は、売上高2063億5300万円(前年同期比4.5%増)、営業利益64億2000万円(同23.7%減)、経常利益74億3900万円(同45.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益47億2400万円(同53.4%減)だった。直近公表の通期連結業績予想と年間配当金の予想に変更は無い。LPガスの市況変動による減益影響や、ヘリウムの市況軟化に加
え、持分法による投資利益が減少した。
当期は、2028年3月期を最終年度とする中期経営計画「PLAN27」に基づき、基本方針である「社会課題解決」と「持続的成長」に向けた事業拡大に取り組んだ。
水素エネルギー社会の実現に向け、水素社会推進法に基づく価格差支援と拠点整備支援に複数の案件を申請、CO2フリー水素サプライチェーンの構築を目指し事業化に向けた準備を進める。脱炭素戦略に関しては、コスモエネルギーホールディングス株式会社などが推進する、廃食用油を原料とした国産SAF(持続可能な航空燃料)のサプライチェーン構築に向けた取り組みに参画するとともに、LPガスの脱炭素化に向けて、SAF製造時に産出されるグリーンLPガスの製造に関して検討を開始した。また、岩谷産業を含む8社が共同出資した田原バイオマス発電所向けに発電燃料である木質ペレットの供給を開始した。安定供給の一翼を担い、電力の脱炭素化に貢献する。
国内エネルギー・サービス戦略では、LPガスの事業インフラを活用した、子供や高齢者の見守りなどの幅広いサービスの提供に向けて、島根県大田市と包括連携協定書を締結。海外戦略に関しては、タイで自動車部品や精密部品の金属プレス加工を手掛けるバンコクサンヨースプリング社の全株式を取得した。同社の加工技術と岩谷産業の販売ネットワークを活かし、タイを起点に、金属加工品の更なる販売拡大を図る。
セグメント別の経営成績は次のとおり。
総合エネルギー事業
エネルギー関連機器等の販売が堅調に推移したことに加え、新規連結の影響もあり、増収となったが、利益面においては、LPガスの卸売部門で販売数量が減少するとともに、市況要因(前年同期比11億0500万円の減益)により、減益となった。売上高は854億5200万円(同28億8400万円の増収)、営業利益は18億8600万円(同13億8100万円の減益)。
産業ガス・機械事業
エアセパレートガスについては、光ファイバー業界向けを中心に販売数量が堅調に推移した。水素事業は、水素ガスやステーション関連設備の販売が増加した。特殊ガスについては、ヘリウムの市況が軟化したことにより、収益性が低下。また、機械設備については、自動車関連や半導体向け設備の出荷が減少した。売上高は620億3300万円(前年同期比16億6100万円の増収)、営業利益は21億0700万円(同11億7900万円の減益)。
マテリアル事業
スマートフォン向けを中心とする機能性フィルムの売上が低調、ミネラルサンド事業については、豪州自社鉱区の収益性が低下した。一方で、中国の輸出規制の影響があるレア・アース等については、安定供給に努めた結果、販売が伸長した。また、バイオマス燃料や消費者向け樹脂製品の売上が堅調に推移したことに加え、ステンレスが新規連結の影響により、販売が増加した。売上高は515億1700万円(前年同期比42億円の増収)、営業利益は29億9100万円(同4億6200万円の増益)。
その他
売上高は73億5000万円(前年同期比8700万円の増収)、営業利益は6億4400万円(同1億4300万円の減益)。