レゾナック川崎事業所、2030年に自家発電設備の燃料転換で水素混焼ガスタービンの運転開始

Scope1削減量は25.4万t-CO₂、半導体産業など市場の環境性能ニーズに対応

 レゾナックは、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、主要拠点の一つである川崎事業所(神奈川県川崎市)において、自家発電設備の都市ガス・水素への燃料転換により、GHG(温室効果ガス)排出量削減に取り組む。川崎事業所での燃料転換に関し、GX経済移行債を活用した政府による支援事業「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業(事業Ⅱ(化学・紙パルプ・セメント等))」に2025年10月7日付で採択され、ガスタービン新設に係る投資実行を決定した。
 現在、川崎事業所では、石油コークスを主燃料とした自家発電設備(ボイラ・タービン)2系統を有する。このうち1系統を廃止し、本事業により都市ガス・水素混焼ガスタービン*1へ設備更新を行い、2030年第1四半期の運転開始を目指す。
 レゾナックは2030年GHG排出量(Scope1+2)を2013年比30%削減する目標を長期ビジョンで掲げている。国内GHG排出量の約50%を占める最大排出拠点である川崎事業所の燃料転換は必要不可欠であり、本事業は上記削減目標の達成に大きく寄与するとしている。

川崎事業所の自家発電設備(現在)
川崎事業所の自家発電設備(現在)

 川崎事業所では、上下水道の水処理における殺菌・消毒用途の次亜塩素酸ソーダや火力発電所の脱硝用途であるアンモニア、医療用手術手袋の原料であるクロロプレンゴムなど、生活・社会インフラを支える多様な製品を製造する。本燃料転換により、これら製品の製造に使用する電力を脱炭素化し、環境性能が求められる市場における競争力を強化する。さらに、川崎事業所で発電した電力の一部は、コア成長事業である半導体材料関連の、関東地区を中心とした製造拠点へ供給する。これにより、半導体産業のグローバルな顧客からの環境対応ニーズに応え、サプライチェーン全体でのGHG排出削減に貢献するとともに、国内成長産業における競争力のさらなる強化を図る。
 加えて、レゾナックは川崎臨海部のカーボンニュートラル化と産業競争力の維持・強化を目指す川崎市の「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」に賛同し、川崎カーボンニュートラルコンビナート形成推進協議会にも参画している。今後も同市および周辺の立地企業や他の協議会参画企業等との連携を深めながら、本事業を着実に推進し、川崎臨海部におけるカーボンニュートラルコンビナートの構築に貢献する。

【本事業の計画概要】

  • 事業名称:川崎事業所での水素発電ガスタービン導入事業
  • 投資規模:217.24億円(うち、交付申請上限額70.83億円)
  • 設備内容:ガスタービン・発電機・排熱回収ボイラ・パッケージボイラ
  • GHG排出削減量*2:25.4万t-CO₂
  • 稼働開始:2030年第1四半期

*1:ガスタービン出力は30~40MW級。一般家庭の消費電力量(kWh)に換算すると約54,000世帯分に相当し、川崎事業所の製造工程で使用する電力の約40%を担う規模。
*2:Scope1削減量。現在の事業スキームにおける外部売電に伴う燃料使用分も含めると、削減量の総計は51.6万t-CO₂/年。