大陽日酸つくば開発センター内に「エレクトロニクス先端材料開発棟」を建設
2027年3月完成予定、新しいプロセス材料とハンドリング機器を開発
大陽日酸は、エレクトロ二クス産業向けの先端プロセスに対する材料とハンドリング技術の実現に向けて、革新的な製品と技術を創出する「エレクトロニクス先端材料開発棟」(以下「新棟」)をつくば開発センター内に建設する。2025年12月15日に地鎮祭を行い、2027年3月の完成を予定している。
親会社の日本酸素ホールディングスグループは、中期経営計画における重点戦略の中で、「エレクトロニクス事業の拡大」を掲げる。エレクトロニクス産業は、生成AIなどの半導体に関わる様々な開発技術の進展によって拡大しており、新棟建設はこの技術進展に対する革新的かつ独創的な新製品の創出を目的とする。
大陽日酸のエレクトロニクス事業の主業である材料ガスは、半導体の製造プロセスの進化によって様々な原子種や化学種が使用されるようになっている。この新棟では新しいプロセス材料とそのハンドリング機器を開発し、顧客の抱える課題へ向けたソリューション提供を更に推進する。
また、新棟では、グループ会社との協働により技術開発のスピードアップを追求することに加えて、オープンイノベーションの推進によって具現性を高めることで、革新的な新製品の創出を推し進めるとしている。
「SEMICON Japan 2025」へ出展、固体プリカーサーの製造・販売を開始
大陽日酸は2025年12月17日から19日まで、東京ビッグサイトで開催されている半導体製造サプライチェーンの展示会「SEMICON Japan 2025」に出展し、「エレクトロニクス先端材料開発棟」の建設を含む、先端半導体プロセスに特化した半導体材料ガスやガスハンドリング機器製品の紹介を行った。
この中で、CVD・ALDなど半導体製造プロセス用途で使用される固体プリカーサーとしてMoO2Cl2(Molybdenum dichloride dioxide)の製造設備を新たに大陽日酸JFP三重工場に建設し、2026年10月に製造を開始、生産能力12t/年を予定することを明らかにした。
3D-NANDメモリの高集積化において「微細化」から「多層化」が進む中、原料をWF6とするW配線(W:タングステン)ではフッ素混入や更なる低抵抗化、低応力化が課題であるとされ、W配線の代替材料としてMo配線(Mo:モリブデン)が注目されている。また、MoO2Cl2以外にもMoCl5、AlCl3、NbCl5、WCl5などの固体プリカーサー製造も検討を進める。
展示ブースでは、半導体製造の現場で使用されている最大100kgもあるガス容器を容器保管庫からガス消費設備まで搬送し、シリンダーキャビネット内への容器の出し入れが可能な「Cdrive」のデモ走行も披露、容器を搭載した状態での走行やキャビネットへのシリンダー授受を実演した。重労働や危険作業、人手不足など、ガス供給現場の課題に対し、省力化に寄与する自動搬送ロボットによる半導体製造工場の生産性向上に向けたソリューションを提案した。



