マチソン・トライガスとエアプロダクツの合弁会社、米国ワイオミング州でヘリウム生産開始

 大陽日酸は、米国 100%子会社の Matheson Tri-Gas, Inc.(本社:米国ニュージャージー州)を通じて Air Products and Chemicals, Inc(本社:米国ペンシルバニア州)と折半出資にてヘリウム生産の合弁会社を設立、同社が生産したヘリウムの出荷を開始した。
 上記合弁会社は、ワイオミング州の Big Piney に位置しており、Denbury 社が運営する Riley Ridge 天然ガス生産プラントから粗ガスヘリウムの供給を受け、ヘリウムの生産(液化・精製)を行う。生産能力は、現状では年間2億立方フィート(約600 万㎥)となっており、将来的には2倍の年間4億立方フィート(約 1,200 万㎥)への拡張を計画している。生産量の半分が大陽日酸の引取り枠。
 ヘリウムは空気中に微量しか含まれておらず、世界でもごく限られた地域(米国、ロシア、中東のカタールなど6ヶ国程度)の天然ガス田で採掘・精製されている貴重な資源であり、世界の生産量の大半を米国が占め、日本は輸入量のほとんどを米国に頼っている。一方、世界需要は、新興国を中心に年々増加しており、ヘリウム需給はタイトな状況が続いている。
 大陽日酸は 2006 年に英国の旧 BOC 社からヘリウム事業の一部譲渡を受けて以来、日本におけるヘリウムのリーディングサプライヤーであり、日本国内以外でも米国、東南アジア、インド、中国などでグローバルにヘリウム事業を展開している。また、今回の合弁事業開始により、日本企業としては初めてヘリウムの液化・精製事業を行うことなった。
 ヘリウムの需給は依然厳しい状況が続いているが、米国での生産開始により、従来からの顧客へ長期的で安定した供給を確保すると共に、グローバルでのヘリウム事業の展開を更に加速する。なお、米国新ソースによる第1号のヘリウムコンテナは日本向けに既に出荷されており、6月下旬頃に到着する予定。