日本海水、赤穂第2バイオマス発電所増設

 エア・ウォーターグループの日本海水は、赤穂発電所(兵庫県赤穂市)に第2バイオマス発電所を増設し、電力事業をさらに強化する。営業運転は、2020年度上期中に開始予定。

 日本海水は、製塩業界におけるリーディングカンパニーであり、家庭用から業務用まで年間40万 ton を生産。塩事業の他、環境事業をはじめとし、水事業や農業事業など、製塩事業で培った技術をベースに新規事業開発に取り組む。
 塩事業においては、製塩工程で大量の電力を使用するため、従来から発電設備を保有していた。同社では、平成26年度に老朽化した製塩用ボイラを更新するにあたり、FIT制度(固定価格買い取り制度)の活用及びCO2削減や雇用の創出など社会貢献を勘案し、木質バイオマス発電所(第1バイオマス発電所)と天然ガスボイラを建設し本格的に電力事業に参入、電力事業は順調に推移し、基幹ビジネスとなっている。

 今回の発電設備増設は、日本海水の電力事業をさらに拡大させるもので、第2バイオマス発電所の増設にあたっては、今後、未利用材が不足することが予想されることから、樹皮等の山林資源の一層の活用を図るとともに、Palm Kernel Shell(PKS)※1の割合が増えることを考慮し、様々な原料の燃焼に対応した設備とする。また、第2バイオマス発電設備の燃料調達と保管場所確保のため、第2木質チップ工場の建設を計画する。

 計画にあたっては、間伐材等の山林放置木の一層の活用による関西・九州地区の自然環境保護や再生可能エネルギーの利用によるCO2の削減効果(11万 ton/年)※2など環境改善に資するとともに、地域の林業・木材産業振興、赤穂市における雇用創出など地域活性化に貢献すべく検討を進めてきた。

※1:パームヤシの殻の部分、パーム油を生産する過程で発生する農作物残渣。
※2:第2バイオマス発電所の導入による CO2 の削減量は年間11万 ton と試算。今回の削減量については、関西電力より公表されている「平成27年度 CO2 排出係数の報告について」を用いて算出し、関西電力の発電量の一部を第2バイオマス発電所の送電に置き換えた場合として試算。


【設備概要】
設備能力:第2バイオマス発電所
・最大発電出力:30,000kW
・燃料使用量 :235,000ton/年(燃料:PKS、樹皮、間伐材他)

【日本海水概要】
①本社:東京都千代田区神田駿河台4丁目2番5号
②代表:代表取締役社長 金澤正博
③売上高:271億円(平成28年度連結)
④事業内容:塩事業、環境事業、農食品事業、電力事業
⑤工場所在地:赤穂工場(兵庫県赤穂市)、讃岐工場(香川県坂出市)、小名浜工場(福島県いわき市)、熊本工場(熊本県玉名市)、アクアインテック㈱ 本社(静岡県掛川市)、オールライナー部(静岡県菊川市)
⑥従業員数:698名(平成29年6月末現在連結)