岩谷産業、北海道で褐炭からCO2フリー水素製造を検討

国内初、褐炭由来のブルー水素サプライチェーンを事業化

 岩谷産業は、国内初となる褐炭からの大規模CO2フリー水素サプライチェーン事業化に向けた検討を開始し、北海道において褐炭由来の国内初のブルー水素製造を計画する。

 北海道に豊富に存在する褐炭(Lignite)から製造した水素を、-253℃以下まで冷却して液化し、需要地まで輸送して利用する。また水素を製造する過程で排出されるCO2については回収し、地下に貯留(CCS:Carbon Capture and Storage )する計画。

 岩谷産業は現在、2030年頃の実現を目指してHySTRA(技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構)や、豪州の企業体との協業を通じて、海外からの大規模水素サプライチェーン構築に取り組んでいる。

 世界的な環境意識の高まりに加え、日本政府が宣言したカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、国内でも早期に大量で安価な低炭素水素を確保する必要があると判断し、より詳細な検討を開始する。今後関係する自治体、企業とも連携を進め、究極のクリーンエネルギーである水素の大規模な社会実装を具現化する。

 岩谷産業は、1941年に水素の取り扱いを開始して以来、製造から輸送・貯蔵・供給・保安まで一貫した全国ネットワークを築いてきた。2006年に大阪府堺市に国内で初めての液化水素製造プラントを建設し、現在では年間1億2,000万㎥(3拠点・6プラント)の液化水素製造能力を有する日本で唯一の液化水素サプライヤー。また、全国に保有している11カ所の圧縮水素工場などの事業基盤を活かし、日本での水素市場におけるシェアは70%になる。