岩谷産業などLPG輸入元売り5社が「日本グリーンLPガス推進協議会」設立

共同でプロパン・ブタンのグリーン化を推進

 岩谷産業は、LPG 輸入元売りの大手 5 社(アストモスエネルギー、ENEOS グローブ、ジクシス、ジャパンガスエナジー、岩谷産業)で、一般社団法人「日本グリーン LP ガス推進協議会」を新たに設立し、LPG(プロパン・ブタン)のグリーン化事業を共同して進める。

 具体的には、水素と二酸化炭素(CO₂)を合成させ、メタノール等への改質プロセスを経たうえで、100%近い収率で LPG を製造する新たな技術(プロパネーション・ブタネーション)を北九州市立大学との連携によって確立する。FT(フィッシャー・トロプシュ)を始めとする従来の燃料合成技術では、CO₂を一酸化炭素に置換する必要があり、非効率な面があったが、新技術では CO₂を直接水素と効率的に反応させ、高い得率での LPG製造が可能となる。この分野で世界的な権威である北九州市立大学客員研究員の藤元薫氏(東京大学名誉教授、一般社団法人 HiBD 研究所代表、北九州市立大学名誉教授)から全面的な研究協力を得ることによって、早期の実証化を目指す。

 また、協議会では、LPG と類似した特性を有する DME(ジメチルエーテル)から LPGを製造する技術の確立に向け、上記研究と並行して、大手触媒メーカー等との共同研究開発を進める。

 ふたつの実証試験結果を 3 年後を目途に検証のうえ、双方の研究を通じて得られた技術を用いて下水処理汚泥施設から発生するバイオ原料等から得られた水素とCO₂を利活用することによって、2030 年前半には年間 3 万トン規模のカーボンフリーなLPG(グリーン LPG)の社会実装の実現を目指す。

 LPG は一般家庭や業務用を始め、化学原料や自動車燃料、都市ガスの熱量調整原料など、幅広い用途で使われており、昨年度の国内需要は約 1,300 万トンに上る。LPG は可搬性に優れ、劣化しない特性を有しており、災害対応力の強化に向けた備蓄用燃料としての利用の他、LNG と同様、硫黄含有量が殆どないといった環境特性によって、舶用燃料としての新たな需要も期待されており、燃焼機器の省エネ化や人口減が進むなかにあっても、政府の試算でも 2050 年時点で相当量の需要量が残ると見込まれている。

 LPG のグリーン化を巡っては、バイオ原料の利用だけでは資源に限界があるため、将来的にはグリーン水素等を利活用し、LPG 需要全量のグリーン化を進めて行く考え。

 5 社が会員となっている日本 LP ガス協会(会長、アストモスエネルギー社長、小笠原剛氏)では、昨年秋に「グリーン LP ガスの生産技術開発に向けた研究会(座長:早稲田大学、関根泰教授)を立ち上げ、今年 4 月には、LPG のグリーン化に向けた今後の課題と方向性に関する報告書をまとめた。今回の協議会設立は、同研究会からの流れに沿ってグリーン LPG の社会実装に繋げて行くためのもので、初代の協議会代表理事には、同協会会長の小笠原氏が就任する。