高圧ガス工業 2022年3月期通期連結決算
溶解アセチレンは自動車関連向け需要が回復し、売上高は前期並み
高圧ガス工業の2022年3月期通期連結決算は、売上高824億8300万円(前年同期比7.2%増)、営業利益47億2000万円(同12.6%増)、経常利益54億0300万円(同13.2%増)、親会社株主に帰属する純利益41億4900万円(同17.9%増)だった。配当金は中間配当8円、期末配当8円の年間配当16円を維持した。
セグメント別の経営成績は次のとおり。
ガス事業
売上高は609億6500万円(前年同期比6.4%増)、営業利益は44億5200万円(同7.8%増)。
自動車、化学、半導体、食品など仕向け先全般において需要が緩やかに回復し、持ち直しの動きがみられた。シリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、生産・販売体制の合理化、安全・保安対策の強化、既存設備の更新などの投資を行ない、地域に密着した営業に努めた。
『溶解アセチレン』は、現場関係及び造船業界向け需要が減少したものの、自動車関連向け需要が回復し、売上高は前期並み。
『その他工業ガス等』は、酸素が新規及びスポット需要の獲得、窒素が半導体及び食品向け需要の回復、アルゴンが新規獲得及び需要の回復、炭酸ガスがプラントメーカーの出荷量増加及びドライアイス向け需要の回復、冷媒ガスが自動車向け新規獲得、また、LPガス等の石油系ガスが入札案件獲得と輸入価格の上昇に伴なう販売価格の上昇によりそれぞれ増加し、売上高は前期を上回った。
『溶接溶断関連機器』は、新規獲得や設備工事、工作機械等の受注が回復し、売上高は前期を上回った。
『容器』は、消火設備装置向け容器及び一般工業用向け容器が減少し、売上高は前期を下回った。
化成品事業
売上高は185億0100万円(前年同期比9.6%増)、営業利益は15億7200万円(同6.4%増)。
仕向け先全般に需要が回復したものの、原材料の高騰や、供給制限、供給不足が続く厳しい状況で推移した。新しい技術の開発に注力し、環境にやさしい製品や付加価値の高い製品づくりに努めた。
『接着剤』は、ペガールが新製品の開発により、紙用及び粘着用が増加し、また、需要先の業況回復により塗料用、建築用、繊維用の需要が増加、シアノンが欧米向けに医療用・工業用高付加価値品、南米・韓国向けにコンシューマー用の需要が増加、ペガロックが国内、海外向けの需要が増加し、売上高は前期を上回った。
『塗料』は、建築用塗料が高機能品の「ウォ-ルバリアシリーズ」や「ビーズコートシリーズ」の伸長、また、エアゾール製品は需要が回復し売上高は前期を上回った。
その他事業
売上高は30億1500万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は5500万円(前年同期は800万円の営業損失)。
ITソリューション事業は、電子ペーパー関連、RFタグ関連が半導体及び樹脂製品の不足による納期遅れの影響を受けたが、LSIカード関連の需要が増加し売上高は増加した。また、食品添加物事業は、原産国での気候変動、労働力不足や輸送費の高騰等の影響を受けたものの、コンビニ向け製品原料の需要が増加し、売上高は増加した。
今後の見通し
2023年3月期通期連結業績予想は、売上高870億円(前期比5.4%増)、営業利益51億円(同8.0%増)、経常利益56億円(同3.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益38億円(同8.4%減)を見込む。配当金は中間8円、期末10円(普通配当8円、記念配当2円)の2円増配を予想する。