日本酸素HD 2023年3月期第1四半期連結決算(IFRS)
通期業績予想を下方修正、営業利益25億円減、親会社の所有者に帰属する純利益20億円減
日本酸素ホールディングスの2023年3月期第1四半期連結決算は、売上収益2760億0600万円(前年同期比26.4%増)、コア営業利益302億7400万円(同23.2%増)、営業利益274億7200万円(同11.8%増)、親会社の所有者に帰属する純利益172億8500万円(同7.6%増)だった。
グループの事業環境は、各地域の市況に違いはあるが、全般的には安定的に推移した。その結果、セパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期並となった。また、電力、原油、液化天然ガスの価格上昇、サプライチェーンの混乱、及び諸物価の上昇は継続しており、コストが上昇したが、各セグメントでの販売価格の見直しや原価・諸経費の削減努力で対応した。
為替の影響は、期中平均レートが前年同期に比べ、米ドルで109円76銭から131円25銭へと21円49銭(同19.6%増加)の円安、ユーロで132円44銭から138円75銭へと6円31銭(同 4.8%増加)の円安、豪ドルで84円15銭から92円52銭へと8円37銭(同 9.9%増加)の円安となるなど、売上収益は全体で約163億円、コア営業利益は全体で約21億円多く表示されている。
セグメント業績
セグメント利益はコア営業利益で表示
①日本ガス事業
産業ガス関連では、主力製品のセパレートガスの売上収益は、出荷数量が減少したが、契約に基づく 価格転嫁や価格改定効果で、前期に比べ大きく増加した。また、LPガスも出荷数量が減少したものの、仕入価格が大幅に上昇したことで販売単価も連動して上昇し、増収となった。機器・工事等では、産業ガス関連では前期並み。エレクトロニクス関連では、電子材料ガス及び関連機器・工事は、ともに増収となった。
売上収益は951億5000万円(前年同期比14.5%増)、セグメント利益は60億1100万円(同 7.6%減)。
②米国ガス事業
産業ガス関連では、主力製品のセパレートガスの売上収益は、堅調に推移した。また、炭酸ガスの販売も好調だった。機器・工事では、溶接・溶断関連機材の売上収益が大きく伸びた。また、エレクトロニクス関連での売上収益は、ガス及び機器・工事ともに増加した。加えて、コスト上昇を背景に価格転嫁を進めたことも増収の要因となった。
売上収益は688億9100万円(前年同期比33.4%増)、セグメント利益93億2500万円(同32.4%増)。円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されている。
③欧州ガス事業
産業ガス関連では、主力製品のセパレートガスの売上収益は、出荷数量は微増となったが、価格改定効果で、前期に比べ大きく増加した。機器・工事では、ガス関連機器で大幅な増収となったが、溶接・溶断関連では減収となった。また、前期第2四半期から継続しているエネルギーコストの高騰に伴う価格転嫁とコスト回収を進めたことも増収の要因となった。
売上収益は649億7600万円(前年同期比36.8%増)、セグメント利益88億1600万円(同32.8%増)。円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されている。
④アジア・オセアニアガス事業
産業ガス関連では、関連業界での生産活動が順調に推移したことで、主力製品のセパレートガスの売上収益は増加した。主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、仕入価格の上昇による販売単価の上昇と出荷数量が堅調に推移し、増収となった。機器・工事は、シンガポールと豪州を中心に増収だった。エレクトロニクス関連では、東アジアでの電子材料ガスの売上収益が大きく増加したことに加え、機器・工事は台湾で増収となった。
売上収益は392億8600万円(前年同期比34.2%増)、セグメント利益は46億1500万円(同52.0%増)。円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されている。
サーモス事業
日本では、行動制限のない新学期シーズンにおける販売好調や、短い梅雨と気温上昇により、ケータイマグやスポーツボトルの出荷数量が前期から回復し、売上収益は大きく増加した。また、自宅で過ごす時間の長い新たなライフスタイルが浸透したことに関連し、前期に続いてフライパンの販売は堅調だった。海外では、販売地域での景気回復により出荷数量は増加した。
売上収益は76億7900万円(前年同期比13.9%増)、セグメント利益は19億6100万円(同30.7%増)。
2023年3月期の通期連結業績予想
2023年3月期の通期連結業績予想については、第1四半期連結累計期間に非経常項目に計上する費用が発生したことから、2022年5月11日に公表した業績予想を下方修正した。
修正の理由は、グループ会社において一部の事業所の賃貸料金の大幅な引上げを所有者から提示されたことを受けて、2020年12月より仲裁手続きにより所有者と争っていたが、2022年6月に、仲裁人により所有者の賃料改定を支持する判断が下されたため、2023年3月期 第1四半期連結累計期間で、過年度の未払賃料を非経常項目として、費用に計上した。
その結果、前回予想比で営業利益が25億円、当期利益が20億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は20億円の減益となる見通しとした。なお、2023年3月期の株主配当金は、前回予想を維持した。
これにより2023年3月期の通期連結業績予想は、売上収益9500億円(前年同期比0.7%減)、コア営業利益1070億円(同4.2%増)、営業利益1050億円(同3.8%増)、親会社の所有者に帰属する純利益650億円(同1.4%増)を見込む。