レゾナック、使用済みプラスチック原料のサプライチェーンで国内初の国際認証取得

「川崎プラスチックリサイクル(KPR)」でマスバランス方式による持続可能特性を割り当て、販売を検討

 レゾナックは、川崎事業所(神奈川県川崎市)において持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証を、3製品(水素・アンモニア・アクリロニトリル)で取得した。いずれも、使用済みプラスチックを化学品原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル事業」により製造した製品で、使用済みプラスチック原料での認証の取得は、国内初となる。

 レゾナック川崎事業所では、2003年から使用済みプラスチックを化学品原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル事業」(同社では「川崎プラスチックリサイクル(KPR)」と呼称)に取り組んできた。今回のISCC PLUS認証取得により、KPRプラントでケミカルリサイクルされた使用済みプラスチックを原料の一部とする誘導品・製品群(下記3製品)に対して、認証制度に基づくマスバランス(物質収支)方式によって使用済みプラスチック由来特性を割り当て、販売を検討する。今後の運用開始時期については、各取引先と調整の上、決定する。

対象製品

水素、アンモニア、アクリロニトリル(AN)の製品

ISCC PLUS認証とは

 第三者機関であるISCC(International Sustainability and Carbon Certification 国際持続可能性カーボン認証)が展開し、バイオマスや再生由来原料や製品などについて持続可能性が保たれ、サプライチェーン全体で適切に管理されているかを担保する国際的な認証制度。特に複雑な生産工程を持つサプライチェーンの、バイオマス化や再生由来原料使用を推進させるマスバランス方式の有効な認証制度として活用されている。

マスバランス方式とは

 バイオマスや再生由来原料といった持続可能原料と非持続可能な原料を混合して製品を製造した際に、投入した持続可能原料の割合に応じて、一つまたは複数の特定製品に対して持続可能特性を自由に割り当てるもの。レゾナックは既存の製造プロセスを活用し、現在の品質や性能を維持しつつ持続可能原料の使用の促進に貢献できる。また、消費者にとっても環境に配慮した製品を購入することにより、持続可能な社会へ寄与できる。本方式は、化学業界で今後さらに普及する見通し。

マスバランス方式のイメージ図
マスバランス方式のイメージ図

レゾナックの「脱炭素」と「カーボンニュートラル」

 KPRでは回収された使用済プラスチックを熱分解によりガス化し、水素や一酸化炭素を取り出し、一酸化炭素は炭酸やドライアイス製品に、水素はアンモニアの原料として利用している。そのほか燃料電池車やホテルに設置された燃料電池の発電用として供給するなど、脱炭素社会実現に向けた取り組みにも貢献している。レゾナックは、今後も環境に配慮した生産設備・技術の導入や積極的な環境対策の推進、高度循環型社会を支える製品の供給等により、社会全体の脱炭素やカーボンニュートラルへの実現を含め、グローバル社会の持続可能な発展に尽力する。

(参考)

プラスチック ケミカル リサイクル  

https://www.resonac.com/jp/kpr

クリーンなアンモニアの生産でカーボンニュートラルを実現

https://www.resonac.com/jp/corporate/unsung-leaders/20221207-1991.html

CO2排出量80%強削減を確認、使用済みプラスチックから生まれた低炭素アンモニア 

https://www.resonac.com/jp/news/2022/12/20/2263.html

環境省「地域連携・低炭素水素技術実証事業」使用済みプラスチック由来の水素エネルギーを活用してホテルでレタスを栽培

https://www.resonac.com/jp/news/2020/12/24/280.html