大陽日酸、日揮HD、クボタの3社「大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」がNEDO事業に選定
輸入したアンモニアを熱分解、年産11万トンの大規模水素製造を視野
日揮ホールディングス、クボタ、大陽日酸の 3 社は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」(以下「本事業」)に共同で応募し、採択された。
今後、3 社が主体となり、国内外で水素の利用拡大が見込まれる2030 年の社会実装を視野に入れ、カーボンニュートラル社会に欠かせない大規模な水素製造の技術開発を行う。
地球温暖化は地球規模の問題であり、エネルギーの低・脱炭素化は大きな課題となる。水素は燃焼時に二酸化炭素を出さないため、次世代エネルギーとして注目されている。
本事業は、水素サプライチェーン構築に際して必要な要素技術の開発に加え、規制整備や国際標準化のために必要なデータ取得の支援等を目的に行われるものであり、3 社は年産 11 万トンの大規模な水素製造事業への参入を視野に、輸入したアンモニアを熱分解して水素を得る「大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」(以下「本研究開発」)を提案した。
NEDO ホームページ:「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」の 2023 年度第 2 回公募に係る実施体制の決定について
https://www.nedo.go.jp/koubo/SE3_100001_00040.html
本研究開発は、輸入した液体アンモニアを気化し、予熱したアンモニアガスを外部加熱式分解炉で加熱分解した後、分解ガスを冷却して水素精製する、こうした一連のプロセスの最適化を目指すもの。現在、アンモニアを分解して水素を製造する技術は、要素技術の多くが商業レベルに達する一方で、実際は小型の装置でしか商業利用されておらず、大規模には行われていない。
中でもアンモニア分解管と、アンモニア分解ガスから窒素ガスとアンモニアを分離精製する一段ガス製造装置(PSA方式)については、さらなる要素試験による検証・開発が必要であり、本研究開発による進展が期待されている。また、水素の用途・仕様に応じた全体プロセスの最適化も必要となるため、本研究開発では、これらの課題の解決を目指す。実施期間は 2023 年度~2024 年度。
本研究開発において、日揮 HD は全体統括や全体プロセスの設計・開発、分解炉の設計・開発、実証計画・見積を、クボタはアンモニア分解管の研究開発を、大陽日酸は水素精製装置の研究開発を担当する。また、実証場所の検討、実証試験の計画支援は、日揮 HD の研究委託先である出光興産株式会社(以下「出光興産」)が行う。
各社の技術やノウハウ、実績
日揮 HD
- 大規模な天然ガス水蒸気改質技術
- ブルー水素の製造パッケージを開発した実績
クボタ
- 石油化学プラントなどに使用される耐熱鋳鋼管の製造・材料技術
- エチレン分解管や水蒸気改質管などの反応管の世界販売実績
- 高温や腐食等の過酷な環境下で使用する金属材料の開発技術
大陽日酸
- 水素精製において高純度水素ガス精製装置を開発した実績
出光興産
- 水素製造装置の運転実績