岩谷産業 2024年3月期第1四半期連結決算

産業ガス・機械事業は増収増益。半導体、電子部品業界向けでセパガス・水素の販売数量減少

 岩谷産業の2024年3月期第1四半期連結決算は、売上高2019億0900万円(前年同期比0.9%減)、営業利益85億1200万円(同3.6%減)、経常利益106億1400万円(同6.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益71億7200万円(同12.3%減)だった。直近公表の通期連結業績予想と年間配当金の予想に変更は無い。

 岩谷産業グループは2024年3月期を初年度とする5ヵ年に亘る中期経営計画「PLAN27」を発表し、基本方針である「社会課題解決」と「持続的成長」に向けた事業拡大に取り組んだ。

 水素エネルギー社会の実現に向けては、豪州の褐炭を活用したCO2フリー水素サプライチェーン構築を推進するとともに、豪州クイーンズランド州における再生可能エネルギー由来のグリーン水素を大規模製造するプロジェクトについて、基本設計作業を開始した。また、発電等の大量需要への大容量水素供給システムの実現に向け、三菱重工業との液化水素昇圧ポンプの開発・販売の覚書や、住友精密工業との大型液化水素気化器の共同開発契約を締結するなど、他社との連携を進めた。

 総合エネルギー事業では、関東・首都圏エリアでのLPガス供給体制の強化および合理化の一環として、根岸液化ガスターミナルにおいてシリンダー充填所の建設に着手した。また、一般家庭等への高効率ガス給湯器導入により得られるCO2削減効果を国のJ-クレジット制度の認証を受けて環境価値化に取り組むとともに、北九州水素タウンにおいて水素100%燃焼給湯器の実証試験に着手し、家庭での低・脱炭素化を推進した。

 産業ガス・機械事業では、中国・華東地域の旺盛な需要を捉え、水素工場に加えて、更なる事業拡大を目的にエアセパレートガス製造設備の拡張を図った。

 マテリアル事業では、タイの金属加工事業において、空調機器の需要増加を受け、着実に製造・販売を拡大した。

 セグメント別の経営成績は次のとおり。

総合エネルギー事業

 LPガス輸入価格の下落や気温高の影響等により減収となった。利益面においては、LPガス小売部門の収益性は改善したものの、市況要因が前年同期比で37億73百万円の減益と大幅なマイナスとなった。売上高は769億61百万円(前年同期比145億51百万円の減収)、営業利益は16億円(同36億62百万円の減益)。

産業ガス・機械事業

 エアセパレートガス及び水素ガスについては、半導体、電子部品業界向けを中心に販売数量が減少したが、製造コスト増加への対応に努めたことにより収益性は改善した。また、水素関連設備の販売が堅調に推移した。特殊ガスについては、ヘリウムが世界的な需給ひっ迫により市況が上昇する中、安定供給に努めた。機械設備は、自動車関連向け設備やガス供給設備の販売が伸長した。売上高は621億83百万円(前年同期比137億71百万円の増収)、営業利益は48億99百万円(同34億22百万円の増益)。

マテリアル事業

 ミネラルサンドや次世代自動車向け二次電池材料は、販売先での在庫調整の影響等により、販売数量が減少した。一方で、バイオマス燃料や飲料ボトル向けPET樹脂の販売が伸長したことに加え、輸入ステンレスやエアコン向けを中心とする金属加工品の販売も堅調に推移した。売上高は553億20百万円(前年同期比9億63百万円の減収)、営業利益は27億69百万円(同54百万円の増益)。

その他

 売上高は74億43百万円(前年同期比1億50百万円の減収)、営業利益は6億10百万円(同2億90百万円の増益)。