東洋紡岩国事業所で、石炭燃料から液化天然ガスとRPF燃料へ火力発電所をリニューアル
高温排ガスやLNG冷熱も有効利用、年間CO2排出量8.0万トンを削減
大阪ガスの100%子会社であるDaigasエナジーは、東洋紡岩国事業所で2023年10月12日、石炭火力発電所から天然ガスおよびRPF*1を燃料とする火力発電所に更新する工事の竣工式を行った。
経済産業省の「令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」*2の採択事業で、東洋紡とDaigasエナジーが共同で実施した。
具体的には、東洋紡岩国事業所の石炭火力発電所(1972年竣工、10,480kW)を更新し、天然ガスとRPFを燃料とし、省エネ、低炭素化に資する高効率発電システムをエネルギーサービス契約*3により新設、電気と熱を供給する。設備投資額は約90億円。
新設した発電所により、脱石炭の実現と本システムから発生する高温排ガス、LNGの冷熱を有効利用する省エネ制御を行うことで、従来の4割以上に相当する年間約8.0万トンのCO2排出量を削減し、環境負荷を低減する。
Daigasグループは、2021年1月に「Daigasグループ カーボンニュートラルビジョン」を発表し、これまでの天然ガス利用拡大の取り組みに加えて、メタネーション*4などによる都市ガス原料の脱炭素化、再生可能エネルギー導入を軸とした電源の脱炭素化によって、「2050年のカーボンニュートラル実現」を目指す。
また、2023年3月には「Daigasグループ エネルギートランジション2030」を発表、エネルギーの低・脱炭素化への移行に向けた道筋の全体像と、2030年に向けたグループの具体的な取り組みやソリューションを示している。
(※1): Refuse derived Paper & Plastic densified Fuelの略。古紙および廃プラスチック類を主原料とした固形燃料
(※2): 事業者が計画したエネルギー使用合理化の取組のうち、省エネルギー性能の高い設備の導入に要する経費の一部を補助する事業
(※3): エネルギー設備を客が購入するのではなく、Daigasエナジーが客の敷地内に設備を持ち込み、客のイニシャルレスを実現することができる契約。本件では三井住友ファイナンス&リース株式会社が設備を保有し、Daigasエナジーがリースを受けた上で客にエネルギー加工サービスを実施
(※4): 水素とCO2から都市ガス原料の主成分であるメタンを合成する技術
岩国事業所における火力発電所新設事業の概要
- 事業者:東洋紡、Daigasエナジー
- 設置場所:東洋紡 岩国事業所(山口県岩国市灘町1番1号)
- 設置機器:高効率ガスタービン発電システム、RPFボイラ(30t)、パッケージボイラ、蒸気タービン、LNGサテライト設備(175㎘、5基)
- 発電出力:16,420kW(既設蒸気タービン 2,880kW含む、発電所全体の出力)
- 想定CO2削減量:約8.0万トン/年(2013年度比)