JFE製水素蓄圧器が「気候変動アクション環境大臣表彰」を受賞

「鋼と炭素繊維強化樹脂層を複合させた超高圧水素蓄圧器の開発」

 JFEスチールとJFEコンテイナーは「鋼と炭素繊維強化樹脂層を複合させた超高圧水素蓄圧器の開発」の成果が認められ、環境省主催の「令和5年度気候変動アクション環境大臣表彰」を「開発・製品化部門(緩和分野)」で受賞した。

 気候変動アクション環境大臣表彰は、気候変動対策に関する技術分野において顕著な成果を挙げた個人あるいは団体に授与されるもので、表彰式は2023年12月4日に浜離宮朝日ホール (東京・中央区)で行われる。

JFE製水素蓄圧器
JFE製水素蓄圧器
  1. 受賞件名:
    「鋼と炭素繊維強化樹脂層を複合させた超高圧水素蓄圧器の開発」
  2. 受賞者:JFEスチール株式会社・JFEコンテイナー株式会社
  3. 受賞概要:
     水素は燃焼時にCO2を排出せず、2050年のカーボンニュートラルに向けて様々な分野での利用が世界的に検討されている。水素が身近で使用されている一例は自動車の燃料で、クリーンなエネルギーを用いた燃料自動車の普及の要を担う水素のガソリンスタンドが「水素ステーション」になる。
     水素ステーションでは高圧力水素の貯蔵を「水素蓄圧器」で行なう。水素蓄圧器は定置式の大容量水素ガスタンクの呼称で、高圧力での水素貯蔵が車体への急速充填を可能としている。

     表彰を受けた水素蓄圧器は、JFEスチールが製造している耐水素脆化特性に優れた極厚シームレス鋼管を、JFEコンテイナーが蓄圧器として設計・製作・組立して製造。さらに三菱ケミカル(株)製の炭素繊維強化樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastics : CFRP)を胴部に使用することで業界最高水準の圧力と広い圧力範囲を実現した。
     NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業として実施・開発された本容器は、2018年度に高圧ガス保安協会の認可ならびに経済産業省大臣特認を取得し、2019年度に販売を開始した。既に全国複数の水素ステーションへの納入実績があるが、性能面で高い評価を得ており、同じくNEDO事業で建設された水素充填研究設備「福島水素充填技術研究センター」内に中圧水素蓄圧器、高圧水素蓄圧器および模擬容器として採用された。
     同研究設備は隣接する水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」で製造した水素を主に利用し、燃料電池を搭載した大型・商用モビリティ(HDV)への大流量水素充填技術や大流量水素計量技術に関する技術開発・検証が実施可能な研究施設。

     JFEスチールでとJFEコンテイナーは、さらなる普及に向けて生産能力の増強を図るとともに、今後予想される燃料電池バス・燃料電池トラック用の水素ステーション用蓄圧器の要求仕様の変化に対応するため、蓄圧器の内容積増加や圧力範囲拡大、圧力振幅のサイクル数増加などの開発を進めている。
JFE製水素蓄圧器断面構造の模式図
蓄圧器断面構造の模式図

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