大陽日酸、水素燃焼式排ガス処理装置「Blisters Burner H2」の販売開始
半導体分野向けにカーボンフリーで除害
大陽日酸は、水素(H2)ガスを燃料にすることで燃料由来の温室効果ガスを排出しない、半導体分野向け排ガス処理装置の販売を2024年4月より開始した。
日本のエネルギー基本計画においては、脱炭素化された電力による電化、または電化が困難なプロセスにおける水素・合成メタン・合成燃料など、脱炭素化されたエネルギーの活用が求められている。
半導体製造工程では、SiH4などの成膜用の特殊材料ガスは排ガス処理時に粉体を生じるため、プロセスにおける電化は困難とされる。大陽日酸はGaN-MOCVD装置のメーカーでもあり、その付帯設備となる燃焼式排ガス処理装置「Hercules BurnerⓇ」も上市している。この装置は燃料がH2ガスのみで、プロセス排気ガス中のH2ガスを効率的に燃焼することで、NH3ガスを無害化するもので、今回この装置の技術を「Blisters Burner H2」に活用した。
本製品の装置構成は、バーナー部、一次冷却部、二次冷却部(スクラバー部)より構成される(図1)。半導体製造装置から排出されたガスはバーナー部へ導入され、加熱分解される。バーナー内部は部材の腐食防止及び二次生成物である粉体の付着を防止するための、冷却空気を供給しており、連続稼働に対する装置安定性を高めている。 一次冷却部では高温状態の処理ガスを急速冷却し、スクラバー部にてガスの最終冷却及び処理ガス二次生成物のHF、HCl等の水溶性ガスを洗浄除去する。
本装置は水素火炎を処理ガスに効果的に接触・混合させることでH2ガス燃焼の持つポテンシャルを引き出し、H2リッチな排ガス以外でも排ガス処理対応可能なバーナー部構造を実現した。評価結果として、従来の化石燃料を用いた燃焼処理と比較して、PFC※除害において30~50%のエネルギー削減が可能となった。
※PFC:炭素とフッ素が結合した化合物
また、従来の化石燃料を用いた既存製品「Blisters BurnerⓇ」から、軽微な変更でH2燃料仕様に変更することができる構造としたことも特徴で、将来的なH2燃料需要の増加を見込んだ設計となっている。
大陽日酸では「Blisters Burner H2」が、「Hercules BurnerⓇ」で培ったH2燃料のみを用いた排ガス処理装置の豊富な販売実績やノウハウが詰まった製品であり、来るべき水素社会においてカーボンニュートラルを実現するうえで有用な選択肢となりうる製品だしている。