日本酸素HD 2025年3月期第3四半期連結決算(IFRS)
通期業績見通し上方修正、価格マネジメントと生産性向上プログラムを実施
日本酸素ホールディングスの2025年3月期第3四半期連結決算は、売上収益9712億6300万円(前年同期比4.6%増)、コア営業利益1397億9400万円(同12.1%増)、営業利益1287億7400万円(同3.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益774億7900万円(同5.6%増)だった。2025年3月期通期連結業績予想を上方修正し、売上収益1兆3000億円(前回予想から変更無し、前年同期比3.6%増)、コア営業利益1850億円(前回予想比80億円増、同11.4%増)、営業利益1780億円(同10億円増、同3.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1070億円(同20億円増、同1.0%増)とした。
通期業績予想の修正理由は、売上収益は価格マネジメントや円安に伴う為替による増収が見込まれるものの、複数の主要な地域における販売数量の減少による減収も影響する見通しで変更はない。一方、コア営業利益は、主に価格マネジメントおよび生産性向上の取組み、為替の影響により、前回公表した予想を上回る見通し。営業利益も、当第2四半期に認識した減損損失の影響を受けたものの、コア営業利益の増加及び日本で不動産の売却を見込むことなどにより、前回公表した予想を上回る見通し。これに伴い、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益についても、前回公表した予想を上回る見通しとしている。期末配当については、2024年5月13日に公表した予想(1株当たり24円)から変更はない。
2025年3月期第3四半期連結累計期間(2024年4月1日から2024年12月31日まで)のグループ事業は、主力製品であるセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は微増だったが、グループ全体における製商品の出荷数量は微減となった。グループ全体としては、コスト上昇による販売価格への転嫁等の価格マネジメント、そして地域ごとに生産性向上プログラムに取り組んだ。
為替の影響は、期中平均レートが前年同期に比べ、米ドルで143円78銭から153円3銭へと9円25銭(前年同期比6.4%増加)の円安、ユーロで156円24銭から165円9銭へと8円85銭(同5.7%増加)の円安となるなど、売上収益は全体で約363億円、コア営業利益は全体で約56億円のプラス影響となった。
セグメント業績
セグメント利益はコア営業利益で表示
日本
産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は減少、炭酸ガスは前年同期並み。また、電子材料ガスは増収だった。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、中大型案件の工事の進捗に伴う売上等により、増収となった。一方、前期の特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化及び民生用LPガス事業を担う子会社の非連結化による減収影響があった。
売上収益は、2957億9100万円(前年同期比3.2%減)、セグメント利益は、342億7800万円(同3.0%増)。
米国
産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は微増であったことや価格マネジメントの効果により、増収。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に販売が軟調だった。
売上収益は、2701億5400万円(前年同期比5.0%増)、セグメント利益は、421億7200万円(同17.6%増)。
欧州
産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は増加、炭酸ガスの販売は軟調だったが、価格マネジメントの効果もあり、増収。機器・工事では、ガス関連機器及び医療関連機器の販売が好調で増収となった。
売上収益は、2488億9200万円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益は、472億8700万円(同19.3%増)。
アジア・オセアニア
産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は堅調に推移した。主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、販売数量が堅調に推移し、増収。エレクトロニクス関連では、ガス・機器共に増収だった。
売上収益は、1318億1800万円(前年同期比10.3%増)、セグメント利益は、128億5700万円(同1.5%増)。
サーモス
日本では、ケータイマグの販売は堅調で、機能的でスタイリッシュなデザインの新製品の上市もあり、増収。また、海外の業績は軟調だった。セグメント利益は、引き続き円安に伴う製造コストの増加の影響を受けたが、コスト低減に努めた。
売上収益は、245億3500万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益は、43億6700万円(同0.7%増)。