日本酸素HD 2024年3月期第3四半期連結決算(IFRS)

国内のセパレートガスとLPガスの出荷数量減少、電子材料ガスの出荷数量も軟調

 日本酸素ホールディングスの2024年3月期第3四半期連結決算は、売上収益9286億5600万円(前年同期比6.4%増)、コア営業利益1247億0200万円(同42.5%増)、営業利益1242億0100万円(同47.2%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益733億9400万円(同40.1%増)だった。直近公表の通期連結業績予想と年間配当金予想に変更は無い。

 主に鉄鋼、化学、石油精製向けにオンサイトで供給するセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期比で減少した。一方、一部の地域ではセパレートガスの製造原価に多く占める電力コスト及び物流コストの負担は前期に比べ緩和された。また、コスト増加分の販売価格への転嫁等のグループ全体での価格マネジメント、さまざまな生産性向上に取り組んだ。

 2024年3月期第3四半期までの為替の影響は、期中平均レートが前年同期に比べ、米ドルで136円85銭から143円78銭へと6円93銭(同5.1%円安)、ユーロで140円83銭から156円24銭へと15円41銭(同 10.9%円安)となるなど、売上収益は全体で約382億円、コア営業利益は全体で約47億円のプラス影響だった。2024年3月期通期の為替換算による影響額の合計見込みは、売上収益で+449億円、コア営業利益で+56億円を予想する。

セグメント業績(セグメント利益はコア営業利益で表示)

日本

 産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガス、及び LP ガスの出荷数量が減少したが、コスト上昇を背景とした販売価格の改定効果により、増収となった。また、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの出荷数量は軟調だった。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、中大型案件の進行基準による計上等により、増収となった。一方、2024年3月期 第1四半期末より特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化による減収影響があった。

 売上収益は3055億5400万円(前年同期比 1.7%増加)、セグメント利益は332億6500万円(同 65.2%増加)。

米国

 産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は減少したが、販売価格の改定効果及び円安の影響により、増収となった。機器・工事では、産業ガス関連はガス関連機器を中心に好調、エレクトロニクス関連も順調に推移し、増収だった。

 売上収益は2571億9800万円(前年同期比 15.0%増加)、セグメント利益は358億7400万円(同 37.5%増加)。

欧州

 産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガスにおいて、出荷数量が微減となったものの、円安の影響もあり、増収だった。機器・工事では、ガス関連機器及び医療関連機器の販売が好調で増収。また、生産性向上の取組みや円安の影響もあり増益となった。

 売上収益は2231億6900万円(前年同期比 9.8%増加)、セグメント利益は396億2200万円(同 56.1%増加)。

アジア・オセアニア

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は減少したが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、売上収益は増加した。なお、主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでも、販売数量は減少した。エレクトロニクス関連では、東アジアで、客先の稼働状況による在庫調整や設備投資の先送りに伴い、ガス・機器ともに軟調で大きく減収となった。

 売上収益は1195億0300万円(前年同期比 2.7%減少)、セグメント利益は126億6200万円(同 2.8%増加)。なお、円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されている。

サーモス

 日本では、ケータイマグ及びスポーツボトルの販売が好調で、売上収益は増加した。また、海外での販売は前期並み。セグメント利益は、物価上昇による原材料価格の上昇と円安による製造コストの増加で、減益となった。

 売上収益は231億6300万円(前年同期比 2.3%増加)、セグメント利益は43億3700万円(同 3.1%減少)。