日本酸素HD 2024年3月期第2四半期連結決算(IFRS)

オンサイトのセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)出荷数量は減少、通期業績予想を上方修正

 日本酸素ホールディングスの2024年3月期第2四半期連結決算は、売上収益6125億7100万円(前年同期比6.8%増)、コア営業利益816億4800万円(同45.3%増)、営業利益815億7600万円(同51.4%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益485億4700万円(同38.1%増)だった。

 主に鉄鋼、化学、石油精製向けにオンサイトで供給するセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期比で減少した。一方、特に欧米で、エネルギーコストは一時期の高値圏に比べ下落基調に入り、セパレートガスの製造原価に多く占める電力コストの負担は前期に比べ緩和された。また、コスト増加分の販売価格への転嫁等のグループ全体での価格マネジメント、さまざまな生産性向上に取り組んだ。

 最近の業績動向を踏まえ、2023 年 5 月 11 日に公表した 2024 年3月期の通期連結業績予想を修正した。売上収益1兆2300億円(前年同期比3.7%増、前回予想比700億円増)、コア営業利益1550億円(同25.9%増、同275億円増)、営業利益1630億円(同36.4%増、同355億円増)、親会社株主に帰属する純利益970億円(同32.7%増、同265億円増)とした。

 今回の修正は日本、米国、欧州の各地域のガス事業の売上収益、コア営業利益が前回公表した予想を上回る見通しであることによる。これは主に円安による為替影響のほか、各地のガス事業において主力のエアセパレートガスの需要は足元で弱含みであるものの、欧米を中心にエネルギー価格が想定を下回って推移していること、各地域で価格マネジメントと生産性向上活動を継続して推進していることによる。

 また、事業再編に伴う一時的な収益を見込んでいることから営業利益も前回公表した予想を上回る見通し。当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益については、円安に伴う金融損益の改善や増益による法人所得税の増加がありながらも前回公表した予想を上回る見通しとなった。

 中間配当については、前回公表した予想(1株当たり 20 円)から変更はない。

 為替の影響については、期中平均レートが前年同期に比べ、米ドルで135円30銭から142円61銭へと7円31銭(同5.4%円安)、ユーロで139円14銭から154円81銭へと15円67銭(同 11.3%円安)となるなど、売上収益は全体で約257億円、コア営業利益は全体で約30億円多く表示されている。

セグメント業績(セグメント利益はコア営業利益で表示)

日本

 産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガス、炭酸ガス及び LP ガスの出荷数量は減少したが、コスト上昇を背景とした販売価格の改定効果により、増収となった。また、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの出荷数量は軟調。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、中大型案件の進行基準による計上等により、増収となった。一方、特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化による減収影響があった。

 売上収益は2021億7900万円(前年同期比 4.0%増加)、セグメント利益は213億3100万円(同 67.7%増加)。

米国

 産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は減少したが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、増収となった。機器・工事では、産業ガス関連はガス関連機器を中心に好調であり、エレクトロニクス関連も順調に推移し、増収となった。

 売上収益は1695億1900万円(前年同期比 16.1%増加)、セグメント利益は234億3700万円(同 45.8%増加)。為替が円安となったことで売上収益は約78億円、セグメント利益は約8億円のプラス影響があった。

欧州

 売上収益は、主力製品であるセパレートガスにおいては、出荷数量が減少したことに加え、エネルギー価格の落ち着きを背景とした販売価格の改定影響はあったものの、円安の影響もあり、増収となった。機器・工事では、ガス関連機器及び医療関連機器の販売が好調で増収。また、生産性向上の取組みによる寄与があった。

 売上収益は1473億8100万円(前年同期比 8.1%増加)、セグメント利益は263億6300万円(同 65.7%増加)。為替が円安となったことで売上収益は約153億円、セグメント利益は約18億円のプラス影響があった。

アジア・オセアニア

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は減少したが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、売上収益は増加した。なお、主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでも、販売数量は減少した。エレクトロニクス関連では、東アジアで、客先の稼働状況による在庫調整や設備投資の先送りに伴い、ガス・機器ともに軟調で大きく減収となった。

 売上収益は781億1400万円(前年同期比 4.5%減少)、セグメント利益は85億6800万円(同 4.2%減少)。為替が円安となったことで売上収益は約23億円、セグメント利益は約1億円のプラス影響があった。

サーモス

 日本では、スポーツボトル及びケータイマグの販売が好調で、売上収益は増加した。また、海外での販売は軟調だった。セグメント利益は、物価上昇による原材料価格の上昇と円安による製造コストの増加で、大きく減益となった。

 売上収益は153億3100万円(前年同期比 1.1%増加)、セグメント利益は28億6800万円(同 13.3%減少)。為替が円安となったことでセグメント利益は約1億円のプラス影響があった。