大陽日酸とNGE、ガラス製造プロセス向け酸素燃焼バーナ「Innova-Jet Forehearth」でCO2排出量65%削減

欧州顧客工場の生産設備に導入し、実証試験実施

 日本酸素ホールディングスグループの大陽日酸と、欧州産業ガス事業会社のNippon Gases Euro-Holding S.L.U.(本社:スペイン マドリード、ラウル・ジュディチ 代表取締役社長、以下 NGE)は、欧州の顧客の生産設備に導入したガラス製造プロセス向け酸素燃焼バーナ「Innova-Jet Forehearth」で実証試験を実施し、従来の空気燃焼バーナに比べてCO2排出量が最大65%削減されることを実証した。大陽日酸は、国内に数多くある工業炉からのCO2排出量を削減し、カーボンニュートラル(CN)社会実現に貢献するため、様々な工業炉プロセスへの酸素燃焼技術適用に向けた技術開発を進めている。

図1 従来の操業とInnova-JetⓇ Forehearth導入後の操業
従来の操業とInnova-JetⓇ Forehearth導入後の操業
実証試験結果

 大陽日酸とNGEは、欧州の顧客工場のフォアハース※1に「Innova-Jet Forehearth」を導入し、実証試験を実施。従来12基設置されていた空気燃焼バーナを「Innova-Jet Forehearth」4基に削減し試験を行った結果、局所過熱等の異常なくフォアハースを均一に加熱できること、また従来と比較して燃料を65%削減できることを確認した。さらに、バーナ基数が削減できることにより、バーナのメンテンナンス個数を減らせるなど、「Innova-Jet Forehearth」には操業上の利点もあることが分かった。

 両社は、今後もガラス製造プロセスをはじめ各種工業分野の子顧客ニーズに対応可能な酸素燃焼バーナの設計を行い、低環境負荷の実現に貢献するとしている。

※1:フォアハースはガラス溶解炉で溶融されたガラスを、瓶や繊維に成型する成型機に分配する役割を担っており、長いトンネル状の形状を有する。フォアハースではガラスを溶融状態に維持するために、フォアハース内は均一かつ高い温度に保つ必要がある。

 ガラス製造プロセスにおいて溶融ガラスの温度保持を担うフォアハースでは、プロセス全体の6%から45%の燃料が消費されている。フォアハースは一般に空気燃焼バーナが用いられているため、酸素燃焼の導入により燃料削減が可能。大陽日酸では酸素燃焼バーナのラインナップとして、フォアハース向け酸素燃焼バーナ「Innova-Jet Forehearth」を2018年に上市した。

 「Innova-Jet Forehearth」は酸素燃焼技術を用いて熱効率を大幅に向上させるとともに、フォアハース等の燃焼空間の小さな炉に対して、自励振動現象※2 を利用して火炎を振動させ、広い領域を均一加熱する特長を持つ。

※2:自励振動現象とは、ノズルから噴出する流体の流れが近傍の壁面に沿って流れる「コアンダ効果」と呼ばれる流体現象を応用した技術。この現象をバーナに応用することで火炎の向きを周期的に変化させることができる。

自励振動の原理
自励振動の原理
Innova-JetⓇ Forehearth 写真
Innova-JetⓇ Forehearth 写真

大陽日酸株式会社 概要

  • 事業内容:酸素・窒素・アルゴン等各種産業ガス、LP ガス、医療用ガス、特殊ガスの製造・販売及び溶断機器・材料、各種ガス関連機器、空気分離装置の製造・販売、電子 部品の組立・加工・検査、設備メンテナンス
  • 創業:1910 年 10 月 30 日
  • 設立:2020 年 2 月 4 日
  • 資本金:15 億円
  • 株主:日本酸素ホールディングス株式会社(出資比率 100%)
  • 売上収益:4,143 億円(日本酸素ホールディングス㈱2024 年 3 月期の日本セグメントの売上収益)

Nippon Gases Euro-Holding S.L.U. 概要

  • 事業内容:酸素・窒素・アルゴン等各種産業ガス、LP ガス、医療用ガス、特殊ガスの製造・販売及び溶断機器・材料、各種ガス関連機器、空気分離装置の販売、電子 部品の組立・加工・検査、設備メンテナンス
  • 株主:日本酸素ホールディングス株式会社(出資比率 100%)
  • 売上収益:3,024 億円(日本酸素ホールディングス㈱2024 年 3 月期の欧州セグメントの売上収益)