大陽日酸、液化窒素式バリ取り装置「ソフトブラスター SCS-CB-BS20」を販売開始

設置に必要なスペースを40%削減、初期費用の大幅削減や設置場所の選択肢を増加

 大陽日酸は、装備を簡易化し、独自の振動篩機構※1 を搭載するとともに、コンパクト化と低価格を両立した高精度な液化窒素式バリ取り装置「ソフトブラスターSCS-CB-BS20」を開発した。2025年4月から同装置のラインナップに加えて販売を開始する。

※1 振動篩機構:振動を利用してショット材とバリを分離する機構

ソフトブラスターⓇSCS-CB-BS20
ソフトブラスターSCS-CB-BS20 の製品外観

 「ソフトブラスターSCS-CB-BS20」は、成型品の材料であるゴムや樹脂の低温脆性(物質が低温状態になると脆くなる性質)を利用し、成型時に発生するバリを液化窒素の冷熱(-196℃)で脆化温度以下まで急速冷却し、ショット材を高速で衝突させることによりバリを除去する、液化窒素式バリ取り装置。本装置は、小型化した振動篩機構を採用することで、設置に必要なスペースを40%削減(従来品比)し、初期費用の大幅削減や設置場所の選択肢を増やすことが可能となった。

 「ソフトブラスターSCS-CB-BS20」は、従来装置と変わらない短時間、高精度な処理を実現したほか、バレル(製品篭)取出し位置を作業し易い下方へ移動、タッチパネル採用による直感的な操作、運転条件のメモリー機能で設定変更の手間とミスを大幅に低減するなどの特長がある。

 大陽日酸は、これまでに国内外に 800 台以上の納入実績を誇り、バリ取りに関する豊富な経験とノウハウを蓄積してきた。また、山梨事業所にデモ装置を設置し、見学やサンプルテストを希望する顧客からの問い合わせを受け付けている。サンプルテストを通じて、対象物の材質、大きさ、バリの程度に応じた最適な装置や処理条件(冷却温度、ショット材の大きさ・投射速度、バレルの回転速度)を提案することが可能。

バリ取り前後のサンプル外観
バリ取り前後のサンプル外観

「ソフトブラスターSCS-CB-BS20」の製品仕様

  • 装置寸法※2: W990×D850×H1,940mm
  • 装置重量(空体): 約 300kg
  • バレル有効容量: 20L
  • バレル回転速度設定範囲: 0~20rpm
  • ショット材投射速度設定範囲: 3,000~4,700rpm
  • 操作方式: タッチパネル
  • 使用温度範囲: -120~+50℃
  • 寒剤: 液化窒素(0.4~0.69MPaG)
  • 電源: 三相 AC200V 50/60Hz 6.0kW
  • オプション: 排気ダクト、ダストボックス

※2 オプション(排気ダクト・ダストボックス)は含まれてない。

開発の経緯

 工業用ゴムの製品需要は、主な供給先である自動車産業の発展と共に拡大している。また、エンジニアリングプラスチックの登場による金属代替も進む。その一方で、人手不足や人件費高騰の問題が深刻化しており、バリ取りの自動化を求める声が高まっていた。さらに、部品の小型化や複雑化により、従来の手作業では対応できず、高精度なバリ取り装置が必要となるケースも増えている。

 大陽日酸では、これまで高性能バリ取り装置「ソフトブラスターSCS-CB-500Z-SUPER」を提供しており、液化窒素による極低温により、ゴムだけでなく、近年広がりを見せる脆化温度の低い樹脂製品のバリ取りにも対応してきた。多くの案件に対応していく中で、シンプルな仕様で価格を抑えたい、設置面積を減らしたい、という要望が高まっていた。