エア・ウォーター 2026年3月期第1四半期連結決算(IFRS)

すべてのセグメントで売上収益・営業利益ともに前年同期比で増加

 エア・ウォーターの2025年3月期第1四半期連結決算(IFRS)は、売上収益2557億1100万円(前年同期比4.0%増)、営業利益168億0200万円(同20.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期純利益107億2500万円(同14.6%増)となった。通期業績予想と年間配当金予想に変更はない。

 2025年度から2027年度までの3ヵ年を実行期間とする中期経営計画(中計)「terrAWell30 2nd stage」を策定。前中計期間までの売上収益1兆円達成に向けた「規模の拡大」から「収益性の追求」へとフェーズを進める。既存事業を徹底的に見直し、生み出した経営資源を効率的に成長事業へ投資するとともに、低成長・低収益事業を中心に改善・合理化を進め、事業ポートフォリオを変革する。
 2025年4月に事業ユニットの新設・再編とともにセグメント区分の変更を実施、グループの成長戦略推進に向けて、シナジー創出、低収益事業の見直しをはじめとした効率化を進めるとともに、新規事業創出、グローバル事業成長の取り組みを強化した。
 当第1四半期連結会計期間より、従来「その他の事業」に区分していた海外産業ガス事業(インド・北米)、高出力UPS(無停電電源装置)事業及び国内のエンジニアリング事業を「デジタル&インダストリー」に、「デジタル&インダストリー」に区分していた炭酸・水素事業を「エネルギーソリューション」に、「デジタル&インダストリー」に区分していたマグネシア事業及びエレクトロニクス関連専門商社事業を「その他の事業」に、「その他の事業」に区分していた物流事業を「アグリ&フーズ」に移管した。

連結セグメント別業績

デジタル&インダストリー

 セグメント売上収益は797億4500万円(前年同期比1.0%増)、営業利益は71億9100万円(同26.1%増)。

 インダストリアルガスユニットは、産業ガスの価格マネジメント効果が業績に寄与した。ガスプロダクツユニットは、一部高炉の停止に伴い、ガスの供給量が減少。デジタルユニットは、生成AI向け半導体需要を背景に、ガス精製装置や半導体製造装置向け熱制御装置等の販売が増加した。グローバルエンジニアリングユニットは、データセンター及び半導体メーカーの設備投資の増加を背景に、高出力UPS(無停電電源装置)事業が引き続き好調に推移した。

エネルギーソリューション

 セグメント売上収益は210億2500万円(前年同期比5.9%増)、営業利益は19億2700万円(同38.7%増)。

 エネルギーソリューションユニットは、主な販売地域である北海道が低気温で推移したことによりLPガス・灯油の販売が増加したことに加え、LNG燃料船へのバンカリング(燃料供給船)需要を獲得したことにより、好調に推移した。グリーンイノベーションユニットは、炭酸ガス供給において、原料ガス不足の影響を受けたが、炭酸ガスの価格マネジメントを実施したことから、堅調に推移した。

ヘルス&セーフティー

 セグメント売上収益は595億2500万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は29億5300万円(同23.7%増)。

 メディカルプロダクツユニットは、一酸化窒素吸入療法の症例数増加や介護用シャワー入浴装置の販売が好調に推移した一方で、在宅酸素濃縮器のメンテナンス費用が増加するなどの影響を受けた。防災ユニットは、資材や人件費等のコスト上昇に対して価格改定による収益確保に取組んだほか、データセンター向け工事案件が増加し、堅調に推移。在宅ヘルスケアユニットは、注射針の販売増に加え、川本産業のコンシューマ向け製品の販売が好調に推移した。デンタルケアユニットは、歯科業界のデジタル化を背景に、歯科材料並びにデジタル機器の取扱が増加したことに加え、持分法適用会社である歯愛メディカルの利益が貢献した。

アグリ&フーズ

 セグメント売上収益は629億2600万円(前年同期比7.1%増)、営業利益は28億5700万円(同4.9%増)。

 フーズユニットは、大手量販店向けを中心としてハム・デリカ製品の販売が増加した一方で、コンビニエンスストア向けチルドスイーツの販売は消費者の節約志向の影響を受けた。アグリユニットは、農業機械販売が堅調だったことに加え、青果流通事業の収益改善が進展した。飲料ユニットは、高気温を背景に止渇飲料を中心に出荷が増加。ロジスティクスユニットは、食品の取扱量が増加したほか、受託料金の改定が進展した。

その他の事業

 セグメント売上収益は324億8700万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は12億9900万円(同28.8%増)。

 海水事業は、苅田バイオマス発電所の稼働日数の増加が売上収益に寄与したものの、前年同期に大型案件の計上があった水処理設備工事が減少した影響を受けた。電力事業は、小名浜バイオマス発電所における発電燃料のPKS(パーム椰子殻)の市況低下やコスト低減の取り組みが寄与した。専門商社事業は、海外子会社において電子部品や半導体向けの販売が回復基調で推移した。