エア・ウォーター、地産地消エネルギーを活用した資源循環モデルの実証施設「地球の恵みファーム・松本」を本格稼働
「バイオマスガス化プラント」「メタン発酵プラント」「スマート陸上養殖プラント」「スマート農業ハウス」の4つの設備で構成
エア・ウォーターが、長野県松本市で建設を進めていた地産地消エネルギーを活用した資源循環モデルの開発施設「地球の恵みファーム・松本」が完成し、2025年10月10日より本格稼働を開始した。
本施設は、「バイオマスガス化プラント」「メタン発酵プラント」「スマート陸上養殖プラント」「スマート農業ハウス」の4つの設備で構成される。全設備を本格稼働することで、未利用バイオマス資源を有効活用したエネルギーおよび電力の製造、熱やCO2の養殖や農業への利活用、廃棄物の製品化による資源循環モデルを実現する。さらに、本モデルを基盤として地域ごとの課題・特性に応じてカスタマイズし他地域への展開を目指す。
エア・ウォーターグループは「地球の恵みを、社会の望みに。」をパーパスに掲げ、産業ガス、エネルギー、医療、農業・食品、海水といった多様な事業領域で培った技術等を活用し、社会課題の解決と新規事業創出による事業成長に取り組む。
「地球の恵みファーム・松本」では、未利用資源である木質バイオマスや食品廃棄物を活用し、バイオマスガス化プラント、メタン発酵プラントでカーボンニュートラルなエネルギーを製造する。電力に変換し施設内で利用するとともにFIT(固定価格買取制度)を活用し売電する。また、養殖設備ではサーモンなどを養殖、農業ハウスではトマトなどを生産するとともに発電設備の排熱・排気ガス中のCO2を活用。さらにはCO2回収・ドライアイス製造装置(ReCO2 STATION)によりCO2からドライアイス、エネルギー製造時の廃棄物から肥料を製造する地産地消エネルギーを活用した資源循環モデルを実現する。
今後は、本施設の本格稼働を開始し、資源循環モデルを構築するとともに、本モデルを基盤として地域ごとの課題・特性に応じてカスタマイズし他地域への展開を目指す。
「地球の恵みファーム・松本」基本情報
- 所在地 : 長野県松本市梓川倭4047-2
- 敷地面積 : 10,094.48㎡
敷地の25%を緑化ゾーンとし、在来種のシラカバ、ブナ、クヌギなどを植林した「里山ゾーン」も整備。地域の絶滅危惧種のチョウ「オオルリシジミ」などの保全活動に貢献。
主要設備
(1)バイオマスガス化プラント
- 竹や剪定枝などの未利用資源を人工の薪(ブリケット)に加工し原料として使用
- 電気および熱・CO2の他設備に供給
発電形式 : ガス化・エンジン方式
発電規模 : 150kW
使用燃料 : 木質バイオマス(使用量:5~6t/日)
(2)メタン発酵プラント
- グループのゴールドパックのお茶やコーヒーの粕を含む食品廃棄物を原料として使用
- バイオガスを発電・バイオメタン製造に利用。
- 排熱はメタン発酵発電プラント、養殖・農業ハウスに供給し温度調整に利用
- 排気ガス中のCO2を分離回収し、農業ハウスの農作物の育成、ドライアイス製造に利用
- メタン発酵の廃棄物から肥料を製造
発電規模 : 300kW
使用原料 : 食品廃棄物(使用量:30t/日)
(3)スマート陸上養殖プラント
- サーモンを中心に魚種に応じた最適な養殖システムを開発し、養殖プラント・育成ノウハウをパッケージで提供
排水方式 : 半閉鎖型循環システム
水槽サイズ: 直径5m×2、小型水槽多数
魚種 : サーモン 他
(4)スマート農業ハウス
- 資源循環利用を通じた持続可能な農作物生産およびスマート農業技術を確立
- 農作業の一部は、当社グループの就労継続支援事業所エア・ウォーター・スマイルの従業員が担う
栽培面積 : 600㎡
栽培品目 : トマト、キュウリ、イチゴなど
(5)CO2回収・ドライアイス製造装置(ReCO2 STATION)
- バイオマスガス化プラント、メタン発酵プラントの排気ガス中のCO2を分離・回収
- 回収ガスの再利用および液化炭酸ガス、ドライアイスを製造
ドライアイス生産能力:100kg/日