岩谷産業がカタールからヘリウム出荷を開始、現地にヘリウム共同事業会社を設立

 岩谷産業は、カタールからの液化ヘリウムの出荷を開始した。また、同ヘリウム出荷に合せて、Buzwair社並びにエルエヌジージャパン社とヘリウムの共同事業会社をカタールに設立する。

 岩谷産業は、カタールのラスガス社の運営するヘリウム2プロジェクトから初のヘリウムコンテナを日本に向けて出荷した。同プロジェクトは、世界最大の能力を有する同国LNG生産工程の随伴ガスから液化ヘリウム生産を行うものであり、岩谷産業はアジアの企業としては初めてカタールからヘリウムガスを直接取引する権益を取得している。同プラントは約4,000万㎥/年の生産量が見込まれており、岩谷産業の取扱い数量は全体量の20%の約800万㎥/年となる。ヘリウム2の稼動開始により、カタールは既存のヘリウムプラントと合せて世界需要の約25%を担うことになる。

 また、ヘリウムを世界に供給してゆくためには、ヘリウムコンテナの保守メンテナンスが必要となるが、岩谷産業はカタール国内最大の産業ガス会社Buzwair Industrial Gases Factories(本社:カタール、ドーハ、会長:Fahad Buzwair)※1、エルエヌジージャパン(本社:東京、社長:髙木恭則、資本金:約80億円)※2とともに、ヘリウム充填・コンテナ物流※3・コンテナメンテナンスを担う共同事業会社を設立する。6月7日に東京において共同事業会社設立契約の調印式を行った。

 今回設立の共同事業会社がこれらの業務を担うとともに、岩谷産業としては①カタール最大の産業ガスメーカーであるBuzwair社、及びカタールでのビジネスに精通しているエルエヌジージャパンとの連携による効率的かつ優位な事業展開、②カタール国内初のヘリウム充填工場運用による地域に根ざした事業推進、③ヘリウム事業におけるカタールとの関係強化を図る。また、新会社では99.9999%以上の高純度かつ30メガパスカルの高圧での充填が効率的に行える設備を整える。

  ヘリウムガスは医療機器、分析機器、溶接、ダイビング、冷媒、娯楽用など幅広く使用されているが、希少資源であり、現在は世界的な供給不足に陥っている。カタール新ソースは安定供給の一翼を担うものであり、岩谷産業は顧客本位でのヘリウムガスの安定供給を目指し、その役割を実行する。

※1:

Buzwair社は、Buzwair Holding Group W.L.Lを親会社とするコングロマリットを形成し、産業ガスだけでなく、建設業、建設関連資材販売業など複数の事業を行っている。

※2:エルエヌジージャパンは、Ras Laffan Liquefied Natural Gas Company Limitedに出資している、カタールでのビジネス経験に豊富なエネルギー商社。
※3:

コンテナ物流とは、ヘリウム生産基地があるラスラファン工業団地から中東地域の物流ハブ港であるジュベルアリ(アラブ首長国連邦/ドバイ)まで陸路片道約3日間を要する物流・輸出入業務を指します。

【合弁会社概要】

①受託業務内容:コンテナメンテナンス業務、コンテナ物流業務およびヘリウム充填請負業務
②資本総額  :1,250千US$
③出資比率 :Buzwair社51%、岩谷産業25%、エルエヌジージャパン社24%
④想定人員   :約35名
⑤所在地     :カタール国Ras Laffan Industrial City(カタールヘリウム2から約 15km) 

【ラスガス社ヘリウム生産工場でのヘリウムコンテナ初充填記念撮影】

【ヘリウムの共同事業会社設立契約調印式】

右からエルエヌジージャパン髙木恭則社長、Buzwair Holding Group W.L.L Fahad Buzwair会長、牧野明次岩谷産業会長